第1回・第2回を通じ、新規事業における営業の本質は「売ること」ではなく「事業の勝ち筋を見つけること」であり、そのための商談設計が不可欠であると解説しました。第3回では、個別の商談を積み重ねた先にあるPMFの達成プロセスと、その後のスケールについて解説します。前編では、複数の商談から条件を絞り込み、「同じ条件で繰り返し売れる状態」を確立するプロセスを解説。受注に至ったターゲットや課題、訴求の条件をデータとして抽出し、AIや商談録音ツールを武器に、開発チームと密に連携しながらPMFを目指す具体的な戦略と実務に迫ります。
1件の受注からPMFにつなげる。商談で確かめるべき条件
私がよく見てきた光景があります。
新規事業の0→1営業担当者が、ようやく1件受注を取ってくる。チームは喜び「次も頑張ろう」と沸き立つ。しかし、その後数週間が経っても次の受注が起こらない。じわじわと「最初の受注は偶然だったのかもしれない」という疑念が広がっていく。
こうした状況に陥る原因は、1件の受注から「どの条件が受注に結びついたか」を分析し、次の商談で確かめる作業を行っていないことにあります。
たしかに多くの場合、1件の受注だけでは成功要因を特定できません。しかし第2回で解説したとおり、0→1フェーズの商談は「事業の仮説を絞り込む場」です。どのセグメントでどのような課題設定が刺さり、どの訴求が響いたのか、仮説を立てたうえで次の商談に臨み続けることが重要です。
そうして商談を積み重ねていくことで、「勝ちパターン」をつかんでいくのです。PMFを目指すとは、勝ちパターンの条件を絞り込んでいくプロセスだと言えます。
図表1に、PMF達成に向けて確かめるべき主な条件と観点をまとめました。
(クリックすると拡大します)
これらの条件を確かめるうえで、AIと商談録音ツールが強力な武器になります。
従来は個人の勘や経験により商談結果を評価していましたが、録音データと分析ツールを使えば「どのような説明で、どのような反応を得られたか」がテキストとして残ります。複数の商談から、受注に結びついた条件と結びつかなかった条件、すなわち「勝ちパターンの条件」をチームで確認し、次の商談でどのように検証するか調整できるのです。
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Relicホールディングス取締役CMO/Scalehack代表取締役CEO|Founder 倉田丈寛(クラタ タケヒロ)
リクルートにて法人営業を担当後、独立して複数のマーケティング支援・メディア事業を立ち上げ、成長させて事業売却を経験。その後、経営コンサルティングファームで売上1,000億円超の大手企業を中心にマーケティング/営業戦略の策定〜実行を支援し、専門コンサルティングファームではEC・BtoB領域やMA/SFA導入を通じて顧...
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