お客様視点やニーズ中心の営業スタイルの重要性は、ソリューション営業やコンサルティング営業といった言葉の中で何十年も前から言われてきたことではありますが、多くの営業組織において未だに自社視点の営業スタイルから脱却できていないのが実情です。今回は、私が関わってきた事例を交えながらお客様視点による売れる営業への転換という“難題”をとり上げ、この転換をいかに成功に導くかについてご紹介できればと思います。
多くの営業は「お客様のニーズは?」に答えられない
「なぜ同じ商品を扱っているのに、売れる営業と売れない営業にいつも分かれるのだろうか?」
このような疑問や悩みを持たれているマネジャーの方は多いのではないでしょうか。
弊社が提携している米国の大手教育会社ミラーハイマングループの調査によると、売れる営業と売れない営業の分岐点は自社商品の販売を重視する「自社視点」からお客様の成功を支援する「お客様視点」への転換ができるかどうかにあるとのことです。どんなに営業の商品説明が上手であっても、お客様自身にニーズ(改善・達成したい要望)が満たされるという実感がないと購入してもらえません。お客様視点やお客様のニーズを把握することの重要性について多くの営業やマネジャーの方は頭では理解されているのですが、実際の面談場面で実践できているケースは多くないようです。
図:営業スタイルの変化
私は、営業コンサルタントという仕事柄、さまざまな業種・業界の方と営業同行する機会が多くあります。営業の方と同行しながら面談前後にコーチングを行うのですが、同行後にはいつも「お客様のニーズは何でしたか?」という質問をしています。しかし、意外なことにこの質問に答えられる営業は多くありません。
先日、ペット用の検査機器を販売している営業のОさんと同行する機会がありました。Оさんは、人当たりも良く社内でも優秀とされている営業でお客様からも評価の高い方です。
ある動物病院へのアポイントのときです。2回目の訪問ということでしたが、いきなり院長の奥様から検査機器の設置予定場所に案内いただき、「ここに機械を置こうかと思っているのですが、どうかしら?」と奥様自身がノートに書かれた図面を見せていただきながら聞かれたのです。このとき、Оさんも私も「契約がとれた!」と内心期待しました。
その後、Оさんは院長と奥様に1時間ほど、検査精度の高さや独自の検査項目、飼い主様向けのレポート機能など、検査機器の特徴やキャンペーン価格の説明をしたのですが、最後まではっきりした結論をもらえず時間切れとなり、その日の面談が終わりました。
面談後、少しがっかりしていたОさんへいつものように「お客様のニーズは何でしたか?」という質問をしました。Оさんはハッとした表情になり、残念ながら私の質問に答えられませんでした。次に「このあとどうする予定ですか?」という質問をしたところ、「明日の同じ時間にあと10万円くらいなら安くできますと電話しようかと思います」と答えました。さて、皆様がОさんのマネジャーだとしたら同行後にどのようなアドバイスをされますか?
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- この記事の著者
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株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 徳久収(トクヒサオサム)
株式会社富士ゼロックス総合教育研究所 エグゼクティブコンサルタント。1986年富士ゼロックス入社。営業、マーケティング、人事企画を経験後、富士ゼロックス総合教育研究所に移籍。コンサルティング部長、リサーチ部長などを経て現職。大手・中堅企業の営業革新、組織変革、人事改革などのプロジェクトを多数手掛ける。英国国立ウェー...
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