本シリーズの中心的課題である「セールストランスフォーメーション」に欠かせないのがSales Techである。グローバルでは平均して1社10種類のSales Techを導入していると言われている。しかし、2019年セールスベストプラクティス調査では「導入しているSales Techが営業活動に役に立っている」と回答したのはわずか22.2%。そこで、第2回では同調査で抽出された12のセールスベストプラクティスの中で、Sales Tech活用に直接影響する「データ戦略」の必要性と考慮すべきポイントを検討する。
そもそもデータは信頼できるのか
皆さんの営業組織から出されるフォーキャスト(売上予測)はどれくらい正確だろうか。
「営業組織から出されるフォーキャストはブラックアート的なところがある」(出典:T. MACCARTNEY, 2019)と言われるように、そもそも営業活動に関わるデータを、セールスが現場でどれほど正確に入力しているのかという根本的な問題がある。
フォーキャストは営業現場からのデータに基づいている。最新のテクノロジーで分析すれば恐らくかなり確度の高い、予測可能な数字がはじき出されるだろう。しかしそのもととなるデータはどこから来るのか。何に基づいているのか。誰がデータを共有しメンテナンスするのか。統一された基準でデータは選別され更新されているのか。
これらは、データを活用するために、どのようなSales Techを導入すべきかを検討する以前の問題である。
たとえば、セールスマネジャーが出す見通しは、たいていの場合、過去の実績を参考にした勘と経験の数字に、現状のギャップをカバーするための「これくらいはやりたい」という意図が加わり「鉛筆をなめた」数字になりがちである。その結果「フォーキャスト」として出された数字の精度は、高くてもせいぜい60%程度だろう。
2019年「セールスベストプラクティス調査」では、それを裏づけるように「自社のCRMに登録されているデータは信頼できる」と考えているのは、実に回答者の24.2%しかいないというデータが示されている。データそのものの信頼性が低いことが読みとれる。

これは見過ごせない点ではないだろうか。数字を管理しているオペレーション部門や各部門のマネジャーにとって、正確な着地見込みを事前に把握することは、その後の営業活動を決めるための最重要課題であり、セールスマネジャーや関係部門と、日常の営業活動の進捗について確実にコミュニケーションをとることは必須だろう。単にCRMに数字を入れるだけでは十分ではない。データそのものの精度が低ければ、最先端のテクノロジーも効果を発揮できない。これは明確なデータ戦略が重要な役割を果たす第一の理由である。
そこで、データ戦略の重要性に触れる前に、まずCSOインサイトが定義する「データ戦略」について確認したい。下記のように定義されている。
「データ戦略とは、データに基づく意思決定ができるような知見や示唆を蓄積するためのものであり、営業組織が必要なデータを効果的にマネジメントする構造化されたフレームを提供する、文書化された計画である(Defining a Clear Sales Data Strategy: A Blueprint for Success, 2019)」
つまり、意図をもって蓄積したデータがあり、そのデータを分析することで勝つための重要な示唆をもたらす資産となる。そして、このようなデータの蓄積から活用までの全体をマネジメントする戦略のことである。
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パーソルラーニング株式会社 コンサルタント 小林 惠子(コバヤシ ケイコ)
パーソルラーニング株式会社 コンサルタント。国際協力分野専門の総合的なシンクタンク、および精密機器メーカー勤務を経て2000年、当社に入社。主にグローバルアカウントセールスとして外資系企業の営業力強化、M&A後の組織づくり、次世代リーダーの育成などの支援に携わる。また、海外パートナーと協働して国境・文化・言...
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