本連載はこれまで、営業DXの導入状況と課題、営業組織のマネジメントに必要な仕組みとしての営業管理のあり方について詳述してきた。また、そのなかでSales Techツールを「管理・分析の高度化」のためのものと、「ナビゲーションツール(営業活動の高度化)」に分類し、解説した。本稿では、営業DXのラストワンマイルとも言うべき、商談のその場のマネジメントにSales Techを活用・定着させるための考え方、新しいデータ「ワークログ」について解説する。
現場の見える化――ワークログはブラックボックスをなくせるか?
フィールドセールスにおける一般的な業務を模式的に示すと図1のようになる。アカウントプランや日次での訪問計画、訪問準備に始まり、訪問・商談(渉外)、営業報告というところまでが、通常の営業活動としてイメージされるところであろう。それ以降の情報の蓄積、分析、情報の可視化・共有となると営業管理と言われる領域になる。第2回で詳述してきた範囲は、図1では左側の「営業管理」とされる部分であった。
図1:営業管理と営業活動のちがい

訪問履歴や訪問時のメモ、商談のステイタスを営業担当者がSFAやCRMに活動情報として登録することで、営業管理側での分析が始まり、第2回で詳述したようなマジメントが行うことができるのである。しかし、営業DXのラストワンマイル問題は、営業管理側の問題ではなく、図1右側「営業活動」の領域を可視化できてない、つまり「営業活動のブラックボックス化」に起因している。
マネジャーはこのブラックボックスの中で、現場へOJTを含めた指導を求められているということになる。これまでは、営業に同行したり、資料をレビューしたりしてOJTを行ってきたことが想像されるが、近年はマネジャー自身も働き方改革の対象となり、なかなか同行営業も難しくなってきた。そのなかで、いかに効率的にOJTを行っていくのか、非常に悩ましい問題であろう。またこうした流れは評価の面でも影を落とすこともしばしばある。現場を知らない上司につけられた評定は本当に納得が行くものなのか?という問題である。プラス査定ならまだしも、マイナス査定の場合は厄介である。
営業組織の場合、それでも成約額など比較的定量的に評価もしやすく、第2回で解説したようなプロセスKPIをしっかりと可視化していくことである程度の納得感は得られ易いであろう。しかし、それでも問題になるのは「機会の公平性」である。彼は上司に依怙贔屓されて丁寧に指導されているのに、私はそうではない。つまり、成長機会が不平等であるにも関わらずこの評価には納得がいかない……などのケースは少なからず出てくる。
直行直帰などの働き方を容認されるようになる現在において、営業の効率化を考えれば、オフィスにいるより、顧客先での商談時間を優先するとなれば、上司と部下の接触時間はさらに少なくなり、現場のブラックボックス化は増していくことになるだろう。
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EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ディレクター 千葉友範(チバトモノリ)
大学院在学中より産学官連携によるソフトウェアベンチャー立ち上げに参画後、会計系コンサルティングファーム、IoTベンチャー企業の役員のほか、AIやブロックチェーンベンチャー企業の顧問などを務め、2019年3月より現職。20年近いコンサルティング経験を通じて、エマージングテクノロジー(先進技術)の活用、UXやUIデザイ...
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