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なぜ日本企業では「育成」が進まないのか 山下氏が語る「セールスイネーブルメント」の効果的なアプローチ

セールスイネーブルメントを効果的に進めるための4つのポイント

 ではここから、セールスイネーブルメントの具体的なアプローチについて理解を深めていこう。山下氏によれば、セールスイネーブルメントには2大テーマと呼べるものがあるという。

「ひとつめは、“オンボーディング”と呼ぶもので、営業を積極採用して、成長を加速させていくアプローチ。中堅企業や中小企業、スタートアップなどに多い、“立ち上げ”という文脈に当てはまります。ふたつめは“Selling Style Transformation”といって、既存の事業領域を維持しつつ、新領域での成長を見込むうえで、営業スタイルを変えていくというものです。こちらはエンタープライズに多いテーマです。多くの企業において、これらのどちらか、もしくは両方が当てはまるでしょう」(山下氏)

 また、これまでの育成の在り方とセールスイネーブルメントの違いについて、山下氏は具体的に4つの観点から説明した。

(1)育成対象者 (2)主導組織 (3)育成コンテンツ (4)効果検証──の4点に注目します。旧来の営業育成では、『営業全員』が育成の対象になっており、『人事部門』が、外部から提供された『一般的な育成コンテンツ』を提供して、『トレーニングの後のアンケート』で結果を検証しているケースが多いように思います。決してこれらを全否定するわけではありません。しかし、本当に成果に至っているのかという観点で見ると、少し見直しが必要であると考えます」(山下氏)

 まず、「(1)育成対象」は、一部の社員に絞るべきだと山下氏は強調する。たとえば営業が1,000人いるならば、トレーニングのインパクトが大きい400人に対して実施するといった具合だ。育成対象者の絞り方について、山下氏は次のように語る。

「たとえば、売り先、売り物、売り方といった、企業の戦略をもとに判断していくことがあります。また、顧客をランク分けして、重要度の高い顧客の売上を上げていくなどの戦略も欠かせません。こうした切り口で見たうえで、営業実績がどのような分布になっているかを分析し、育成のインパクトが大きいであろうボリュームゾーンを絞っていきます」(山下氏)

 次に、「(2)主導組織」については、人事部門が営業育成を担うのではなく、営業部門に近いところに“イネーブルメントチーム”を設けて主導するのがおすすめだという。そうすることで、営業部門固有の課題を把握し、実務的な育成を図ることができる。これは営業企画部や経営企画などの組織が、従来の業務の延長線上で担っても構わない。

 続いて「(3)育成コンテンツ」は、忙しい営業でも翌日からすぐに使えるような実践的なものに変えることが重要だと語る。

「一般的なコンテンツよりも、具体的なコンテンツが良いです。たとえばアカウントプランならば、クライアントにビジョンを示すためのトレーニングや、数枚のスライドを使ってディスカッションから始めてニーズを喚起するためのトレーニングを具体的に提供するといったイメージです。マネージャー向けにも、『営業コーチングスキル』向上のためのコンテンツが提供できると良いでしょう」(山下氏)

 そして「(4)効果検証」では、「営業成果のデータ」を使って効果検証していくことが重要となる。

「たとえばどのような指標を見るかというと、営業全体の目標達成率の昨対比、新卒/中途採用社員の立ち上がりの期間、商談1件当たりの金額などです。成果と育成を照らし合わせ、相関関係を見ながらPDCAを回していくことが重要です」(山下氏)

 最後に山下氏は次のように述べ、講演を締め括った。

「“新時代”というテーマで、旧来の営業育成とこれからの営業育成の違いについて解説しました。成果、行動、知識をしっかりつなげ、効果検証をしていくことで、科学的な育成マネジメントが実現できるでしょう。既存のプロセスを見直すきっかけやヒントをご提供できればうれしく思います」(山下氏)

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この記事の著者

井上晃(イノウエアキラ)

ITライター・エディター。モバイル業界を中心に取材し、IoTやロボットなどを含め、多岐にわたるテーマの記事を雑誌やWebメディアで執筆。雑誌・ムックの編集にも携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:R-Square & Company Inc.

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/09 11:19 https://markezine.jp/article/detail/58457

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