2016年10月に行われた、ECzine Day 2016 Autumn。そのオープニングセッションとして行われたのが、「お客様の行動を想像する接客とオートメーション」と題したパネルディスカッションだ。ECzine編集長の倭田をモデレーターとし、コメ兵執行役員藤原義昭氏、良品計画WEB事業部部長川名常海氏、伊藤久右衛門WEB営業部マネージャー足立容子氏という、EC界でも先端の取り組みを行ってきたメンバーが集結。自社のこれまでの成功や失敗事例、現在注力していることや今後の戦略について、余すところなく語られた。
ネット上でのコミュニケーションと店舗の売上は繋がる
――まずは各社の施策を振り返るということで、オムニチャネル、メールマーケティングというキーワードをピックアップしました。藤原さん、川名さん、オムニチャネルについてはいかがでしょうか。
藤原(コメ兵、以下K) 当社では、宝石やブランドバッグなどの高価な商品を扱っておりますが、実店舗のお客様と同じように、ECのお客様も商品を手にとって実物を見たいと望まれます。そのため、たとえば銀座店を訪れたお客様が見たかった商品が新宿店にあるのなら、商品をすぐに銀座店に移動させます。お客様が「見たい」と思った瞬間が最も購買意欲が高いため、移動にかかるコストは度外視です。その意味では、オムニチャネルは自然発生的に始まったといえるかもしれません。
川名(良品計画、以下R) 当社がECを開始したのは2000年頃で、まだO2Oやオムニチャネルという言葉もありませんでした。ECのお客様、店舗のお客様と分けて考えられていたため、「ネットにお客様を取られた」という認識の店舗もあった時代です。そこで、2003年から2004年くらいにかけて、ネット会員の方にクーポンを配り、店舗で割引が受けられる仕組みを導入しました。結果的に多くのお客様に店舗にご来店いただき、それ以降、ネット上のコミュニケーションと店舗売上は繋がるという共通認識が生まれましたね。
カゴ落ち対策は効果的。しかし、本当にお客様本位なのか
――次のテーマはメールマーケティングです。伊藤久右衛門の足立さん、いかがでしょう。
足立(伊藤久右衛門、以下I) 当社の売上構成比において、メルマガからの購入は14%程度です。しかし、開封率が年々落ちている現状があります。ガラケーからスマホへの移行で、すでにメール自体を使わない方も多いですよね。その状況で、メルマガを活用した効果的なアプローチとは何かと考えると、やはり個々のお客様に合ったメールをお出しすることだと思っています。そのため、セグメントやメールのクリエイティブにはこだわっています。
――EC界隈では、MAやカゴ落ち対策が話題になっていますが、他の2社様は導入されていますか?
藤原(K) はい、カゴ落ち対策は効果を上げています。ただ、お客様の中には「お気に入り機能の代わりにカゴに入れておく」方が結構な割合でいらっしゃり、すべての方にメールを送ることが果たして正解なのかと思うことはあります。今回のセッションも「接客」がテーマとなっていますが、それって本当にいい接客なのかなと。
川名(R) 当社は最近カゴ落ち対策を導入したばかりなのですが、確かにコンバージョン率は改善しました。しかし藤原さんもおっしゃったとおり、大多数となる購入に至らなかったお客様が、どう感じたのかはわかりません。少しでも気持ち悪さや嫌悪感を与えてしまっていたら、「接客」としては成功とは言えませんよね。
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渡邊 徹則(ワタナベ テツノリ)
株式会社Version7代表取締役。Web・コンテンツ制作、分析、マーケティングなどを手掛ける。
執筆業では、主にソーシャル、EC、海外サービス、メディアなどが専門。
会社概要 - seven@ver7.jp - Twitter/Facebook @brigate7※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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