オムニチャネルの先進企業として知られるコメ兵で、マーケティングを統括する藤原義昭さんによる連載です。 リアル店舗を持つ小売業向けに、顧客の体験価値の創造とそのオンラインとオフラインの企業側の対応についてお届けします。ついに最終回!「これからの小売業」をお届けします。
これからのお買い物はレジャーに!?
今回は最終回としてこれからの小売業を少し考えたいと思います。
連載第1回では、EC化率に注目して、顧客の動きを考えていきました。デジタルを介しての販売は成長しており、今後もどんどん大きくなっていきます。そこで「じゃECで!」と脊髄反射を起こす前に、少し息を落ち着けて考えることが必要です。
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」によると、日本のEC化率は5.8%です。これは裏返すと約95%がリアルの場で消費がなされているということ。リアルの接点は間違いなく重要ですので、この接点を活かしたオムニチャネルで、顧客に対して商品だけでなく、より良い買物体験とともにお届けすることができたなら、買い物がレジャーになっていくのではないかと考えます。

日本で起こる構造的な問題
人口減、少子高齢化、都市集中による地方問題など、現在の日本では構造的な問題を多く抱えています。小売業は消費者とダイレクトにつながっており、お客様が日本にいる限り海外に移転することが不可能です。よって、こうした日本の構造問題から、中長期でダイレクトに影響を受けてしまいます。
すでに、地方の百貨店の閉店のニュースを目にするようになってきました。ショッピングセンターであっても、地方では苦境に立たされているお店も少なくありません。地方の売上、利益の減少はどこかで補填しなくてはならず、もしかしたら中心地の賃料値上げで補われることも出てくるかもしれません。中心地のショッピングセンターの賃料値上げが進むと、同じように中心地の商業地区の賃貸相場も値上げというループになっていくでしょう。小売業は、その賃料を吸収するために売上を拡大するか、利益率の高い商品を売るか、販管費を削るか、いずれかの選択が突きつけられます。
ここで考えるべきは、すでにひとつの店舗だけで収益を考える時代は過ぎ去ろうとしているということです。なぜなら消費者は情報を簡単に取得できるようになり、行動も変化しました。デジタル世界とリアルの世界を意識せずに行ったり来たりしたり、物理的な店舗についても、同じブランドであったとしても、ひとつだけの店舗を使い続けることが少なくなっています。
消費者自身が自社のさまざまなチャネルで購買しているにもかかわらず、企業側はひとつの店舗だけで収益を見ながら経営をしていると、つじつまがあわなくなりますし、そうすべきではありません。あくまでもビジネスは顧客がいて成り立つもの。収益の見方も、顧客起点にシフトしていく必要があります。
これが企業をオムニチャネル化することの本質であり、消費者の動きが変化してきている時代において、自然なことなのです。
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藤原 義昭(フジハラ ヨシアキ)
株式会社300Bridge 代表取締役
経営層を対象に経営、マーケティング、デジタルで企業成長の角度を上げるサポートを行う会社である株式会社300Bridgeを経営。KOMEHYO HDでは全社マーケ・DXを統括し、EC事業をゼロから約100億円規模に育成させた。ユナイテッドアローズでは最高デジタル責任者として1300億...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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