TSUTAYA、コスメのエクスボーテ、スキンケアのプロアクティブ、アパレルのDoCLASSEなど、異なるジャンルでデジタルマーケティングを推進してきたアクティブ合同会社CEOの藤原尚也さん。それぞれの企業で藤原さんが成果をあげることができた理由とは。どう戦略をたて、実行に移してきたのか。本連載では、デジタル、店舗、テレビCMなどに精通する藤原さんにその秘訣を伺います。今回のケーススタディは、「コスメEC(単品通販)」です。
購買履歴は宝の山 LTVアップに貢献する商品を見つけて良いスパイラルへ
――単刀直入に質問します。ずばり、コスメやスキンケアなどの単品通販で成功を収める秘訣は何でしょうか?商品数が少ないからこそ、やるべきこと・やれることもありますよね。
以前、ECzineの動画(前編・後編)でもお話しましたが、単品通販の場合は特に「新規」と「既存」を分けて考えなくてはいけません。既存顧客のLTVがどれだけ上がるかで、新規獲得に使える予算も変わってきます。もちろん新規顧客・既存顧客どちらも大事ですが、伸び悩んでいるときにはまず、既存顧客のLTVをどう長くするかがひとつ大きなポイントです。ここが伸びてくると、新規顧客ひとりあたりにかけられる単価(CPA)も上げることができます。
スキンケアやコスメといった商材の場合、トライアルセットなどを作り、2ステップマーケティングを行うことが多いですが、トライアル後の継続率が高ければ高いほど、トライアルセットの単価を安く設定してもペイできるようになります。継続してくれる顧客がいないとずっと新規顧客を獲得し続けないといけないですし、新規顧客を獲得しようとしても予算を回せず、予算がないから新規顧客も来ず、そして継続してもらうための施策に手が回らないため、既存顧客もいなくなる。顧客が減ると売上も減るので、さらにコストはかけられない……という悪循環に陥ってしまいます。この悪いスパイラルに入らないようにするのも重要なポイントですね。
――悪いスパイラルに入らず、良いスパイラルに入るためにやるべきことはありますか?
自社製品のなかで、どの商品を使ってくれているお客さんがもっとも継続してくれているかを徹底的に調べると良いでしょう。継続率の低い商品や、持ちが良すぎる商品でLTVを上げることは難しいので、購入の入り口となり、かつ継続的に買い続けてもらえる商品やその商品自体の継続率は低くても、併売しやすい商品、ほかの商品の継続購入につなげやすい商品を見つける。そういう商品はどの企業・ブランドにも必ずあるはずなので、過去の販売履歴を徹底的に分析して見つけ出すのです。

その商品を見つけ出すことができたら、該当する顧客に対して継続的に買ってもらうための施策を行います。たとえばその商品を買ってくれている100人のうち、30人は継続しているけれど、70人が離脱してしまっているとしたら、その70人に商品の使いかたをレクチャーしたり、その商品と併せて使うと相性が良い商品を案内する。そうすると、70人全員を振り向かせることは無理にしても、継続して購入してくれるお客さんが30人から40人に増えることはおおいにあります。
こういった分析とテストを重ね、上手くはまる施策が見つかったら、その商品のトライアルセットを作って新規顧客にそれを買ってもらう。継続率の高い商品で新規の商品構成を作るのです。その後に使い続けてくれているお客さんに対し、満足度調査を行うと良いでしょう。きっと商品に対する満足度が高く出たり、「この商品を勧めたい」という声が出てきたりするはずです。それを新規獲得のプロモーションのクリエイティブに活用するとより説得力が増しますよね。こうして良いスパイラルは意図的に生み出すことができます。
――企業が「売りたい」と思っている商品と、継続して購入してもらえる商品は必ずしも合致しないということでしょうか。
合致しないことはおおいにありますね。だからこそ販売実績をきちんと見て、分析を行う必要があります。
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ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)
立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。2025年4月1日より、ECzine 副編集長を務める。
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