通販事業の優位性を見つめ直す ダイナミックプライシングに取り組む ディノス・セシールの成長戦略とは
スタートアップ企業の技術力を積極活用。顧客が求めるファッションの価値をデジタルで増幅させる。 ※本記事は、2020年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.14』に掲載したものです。
1970年代前半より、長きにわたりテレビ・カタログを主軸とした通信販売事業を行っているディノス・セシール。近年は、ECと紙媒体をリアルタイムで連動させたCRM施策や、ファッション関連をはじめとしたスタートアップ企業への出資など、既存事業を活かした上でより新たな試みを行っている。そんな同社が2020年5月、ダイナミックプライシングに着手すると発表をし、大きな注目を集めた。アパレル含めさまざまな商品の販売を行う同社が、ものを売るために絶えずチャレンジし続けるのはなぜか。デジタル活用を積極的に推進するマインドについて、同社でCECO(Chief e-Commerce Officer)を務める石川森生さんと、セシールマーケティング本部マーケティング戦略部で部長を務める藤田満さんに聞いた。

(リモートにてインタビュー参加)セシールマーケティング本部 マーケティング戦略部 部長 藤田満さん
オープンイノベーションで互いの強みを活かす
2019年7月に発表したサイバーセキュリティ関連サービスを提供するFlatt Securityへの出資を皮切りに、同年内にはファッション業界に特化したSNS型採用プラットフォームを運営するREADY TO FASHION、ファッションAI事業を行うニューロープ、印刷プラットフォーム事業を展開するグーフ、2020年に入ってからは次世代型ネット広告配信サービス事業を手掛けるスリーアイズといったように、積極的に先端技術を扱うスタートアップ企業への投資に取り組むディノス・セシール。自社でデジタル推進を行う際には、既存のツールを活用したり、自社に合ったオリジナルのツールを開発したりと、さまざまな進めかたが考えられるが、同社はなぜ出資という形を選んだのだろうか。理由を尋ねると、石川さんはこう答えた。
「私たちが、先端テクノロジー系の取り組みにゼロから着手するのは、時間もコストもかかり、現実的ではありません。また、既存ツールを導入して自社に適合させていくことももちろん行いますが、並行してより効率的かつ革新的な方法があるのではないかと考えていました。そこで、当社が求める技術や目指す方向性と合致しているスタートアップ企業を見つけたら、彼らの持つソリューションをただ活用するだけでなく、資本関係を含む強固なパートナーシップを結び、よりシナジーを生む方法を模索することに決めたのです」
同社が出資する企業は、すでにソリューションによるマネタイズを実現している企業がほとんどだ。既存製品を導入し、活用するほうが一見すると容易に社内のデジタル化を実現できるようにも見えるが、「資本を投入させてもらうことで、互いの事業のよりコアな部分に触れることができる」と石川さんは続ける。出資先企業の持つテクノロジーを用いて、ディノス・セシールが現在抱える課題を解決する方法を探るべく、共同プロジェクトを立ち上げ、「ディノス」と「セシール」という、通販業界においては大規模な販売チャネルを実践の場として活用。手を取り合って課題解決にあたることで両者にとって効率的かつ有益な情報交換が可能となる。
「海外で積極的に取り入れられているオープンイノベーションの思想を当社にも適応したイメージです。当社ばかりがメリットを享受するのではなく、当社の持つビジネス資産を出資先企業にも上手く活用していただき、互いに成長していければと考えています」
メールマガジンに登録無料すると、続きをお読みいただけます
-
- Page 1
-
- Page 2
-
- Page 3
-
- Page 4
この記事は参考になりましたか?
- 季刊ECzine vol.14特集「Evolution Fashion Commerce~DX推進で切り拓くアパレルの未来~」連載記事一覧
-
- 段階を経てデジタル化を実現 「好き」や「得意」を軸に価値提供 ビームスが目指すコマースの新...
- 負の解消が未来につながる ZOZOがデジタルで描く 誰でもファッションを楽しめる世界
- 通販事業の優位性を見つめ直す ダイナミックプライシングに取り組む ディノス・セシールの成長...
- この記事の著者
-
ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)
立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。2025年4月1日より、ECzine 副編集長を務める。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
