小柄な女性向けのアパレルブランド「nairo」が、成長を続けている。立ち上げから2年目となった2022年度の売上は約10億円。時間のかかる配送など、D2Cブランドの当たり前とは逆のやり方で成長してきた。同ブランドを運営するgf.X株式会社 代表取締役社長 杉山太士氏に、その理由を聞いた。
nairoの価値は「明日届くこと」ではない
既存の商品では洋服のサイズが合わない、うまく着こなせない。こうした悩みを抱える消費者は少なくないだろう。「nairo」では標準寸法を拡大・縮小するのではなく、最初から小柄な女性向けに型を起こして商品を製作している。
2020年に、アパレル物流大手・ジーエフホールディングス株式会社傘下のgf.Xがインフルエンサーをディレクターとして立ち上げた同ブランド。当初は韓国から既製品を輸入して販売していたが、他ブランドとの差別化の難しさから、2021年5月にオリジナル商品の販売を開始した。小柄でも美しいシルエットで着こなせる商品を強みに、ファンを増やしている。
「少しずつ、身長の低い方だけでなく、標準的な身長の方からも『nairoの服を着たい』といってもらえるようになってきました。こうしたニーズを受け、最近では標準サイズの商品も展開し、顧客層も広がっています」
nairoの特徴は、一部の定番商品を除き、オンライン上の「予約会」を通じた受注販売をメインとしている点にある。予約会は月に1~2回開催され、4~6日間で5〜7型の新商品が販売される。予約会で販売された商品が顧客に届くのは、6~8週間後だ。そのため、8月であれば秋に着られる薄手のコートなど、商品が到着する時期に合わせたラインアップとなっている。
eコマースにおいて、即日発送が当たり前となった今、商品到着まで時間がかかるのは不利にも思える。しかし、nairoはブランドの価値を「明日届くこと」においていない。予約会で購入すれば確実に手に入る仕組みと、セールをせずに商品価値を保つことを重視しているのだ。
「予約会を始めたばかりの頃は、『届くのが遅い』と不満の声もありました。それは、ブランドの考え方や予約会の仕組みを、言語化して十分に伝えられていなかったからだと思います。自社ECサイトに、『はじめての方はこちら』や『予約会とは』という案内を作ってからは、不満の声はほとんどなくなりました。むしろ、次の予約会を楽しみにしてくれる顧客が増えた印象です」
初めて実施した予約会で商品を注文した顧客は300人程度だったという。それが今では、1回につき1,000人以上もの顧客が集まるようになった。
「アパレルブランドの場合、売上を上げるために積んだ大量の在庫を、セールをしながら売り切るケースがほとんどです。一方、nairoは注文数を把握した上で販売するビジネスモデルをとっています。この方法では、売上を一気に伸ばすことは難しいですが、地道に利益を出しながら成長できます」
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松岡 亜希(マツオカ アキ)
フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。
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