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MarkeZine Day 2026 Autumn(2026.09.08-09)

EC業務に変革をもたらすAI 共存の先に見えるものとは

会話で購買する未来にどう備える?Salesforceに学ぶエージェンティックコマースの今

 Salesforceのeコマースプラットフォーム「Commerce Cloud」が「Agentforce Commerce」へと進化し、エージェンティックコマース実現に向けた機能拡充に注力している。本記事では、Agentforce Commerceの製品ロードマップについて取材し、AIが単なる補助ツールを超え、自律的に思考・行動する「エージェント」へとどのように進化するのか、深掘りする。そして日本市場独自の「おもてなし」と「人手不足」の両立をどう実現するか。EC担当者が「作業者」から「体験の設計者」へとシフトするためのデータ戦略について、Agentforce Commerceのプロダクトマーケティングを統括する黒川氏が提言する。

エージェンティックコマースが求められる3つの背景

━━Salesforceでは、eコマースプラットフォーム「Commerce Cloud」のブランドを、「Agentforce Commerce」へと変更しています。この変化の背景と狙いについてお聞かせください。

 コマースの過去20年を振り返ると、SaaS化、モバイルコマース、ソーシャルコマース、そしてユニファイドコマースへと進化してきました。これからの10年は、自律型を意味する「エージェンティック(Agentic)コマース」の時代になると考えており、Salesforceの他の製品ブランドと同様に、Agentforceの名を冠したブランドに変更しています。

セールスフォース・ジャパン
製品事業統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマーケティングシニアマネージャー
黒川 瑠欧氏

 そして、エージェンティックコマースが求められるのには、大きく3つ背景があると考えています。1つ目は、ECサイトが「商品を探す場」として限界を迎えていることです。選択肢が多すぎて比較が難しく、顧客が質問してもすぐに納得のいく答えが見つからないため、半数以上の顧客が離脱してしまうという調査結果も出ています。即座に購買に移せる顧客体験が求められています。

 2つ目は、AIの役割が「補助」から「実行」へと変わったことです。これからのAIは顧客の意図を理解し、自ら考えて行動します。

 そして3つ目は、クラウドが当たり前になった後の次の進化として、すべての体験にAIを組み込むという方針です

━━自律型AIエージェントによって役割が「補助」から「実行」へとシフトする中で、2026年のAgentforce Commerceを象徴するキーワードは何でしょうか。

 一言で言えば「会話が購買そのものになる」です。

 人間社会において、会話は最も身近で、長く使われてきたコミュニケーションの根幹です。誰かに相談し、質問し、比較し、納得して選ぶ。これまで店舗で自然に行われてきたこの体験が、デジタル上でも再現され、さらに進化していくのは必然的な流れです。

 信頼性の高いユニファイドコマースを基盤に、AIエージェントが顧客との会話を通じてニーズを理解し、商品提案から比較、購入、購入後のサポートまでを一貫して担う。そして企業側では、その会話を通じて収益力を最大化していく。これが私たちの描く未来です。

 すでにAgentforce Commerceに名称変更後、様々な機能実装を進めており、2025年のホリデーシーズンには、2,620億ドルの売上のうち、AIエージェントが20%の売上を支えているデータも出ています。

2026年のポイントは「文脈を理解し、体験を高速化する」こと

━━顧客(購入者)向けの機能について、2026年の具体的なロードマップや最新のアップデートを教えてください。

 大きなトピックとして、2026年2月にAI検索企業の「Cimulate」を買収し、「Agentic Commerce Search」の提供を開始しました

 これにより、何百万ものショッピングジャーニーをAIが事前にシミュレーションし、顧客の意図や文脈を深く理解した上で検索体験を提供することが可能になりました。

 たとえば、米国のブーツ・ウエスタンウェア小売企業であるBOOT BARN社では、「whites boots」と検索した際に、単なる「白いブーツ」ではなく「White's Boots」というブランドを探していると理解します。また、「sparkly boots(キラキラしたブーツ)」のような曖昧で抽象的な表現についても、顧客の意図を汲み取り、適切な商品へと導くことができます。

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  また、商品詳細ページ(PDP)にAIエージェントへの質問ボタンを配置し、「このブーツのフィット感は?」や「返品ポリシーは?」といった質問に対し、その場で最適な回答を提示できるようにもなっています。

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━━顧客が「自分で探す」のではなく、エージェントと「一緒に選ぶ」接客体験に近づいているのですね。サイトの構築やパフォーマンス面での進化はありますか?

 はい。フロントエンドの体験を劇的に向上させる「Storefront Next」の提供を開始しています。これはコンポーザブルアーキテクチャのベストプラクティスを詰め込んでおり、柔軟なカスタマイズが可能です。

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 スクラッチ開発やヘッドレス構成にも対応し、最短30分でストアフロントを構築できるだけでなく、各国の多様な決済システムとも柔軟に連携できます。これにより、開発・展開のスピードを高めながら、サイトパフォーマンスの向上にも貢献します。

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EC担当者の業務は「作業」から「設計」へ変わる

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/07 08:30 https://markezine.jp/article/detail/76978

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