2023年9月6日~8日に開催されたHubSpot主催の年次イベント「INBOUND 2023」は、昨年に続きオンライン/オフラインのハイブリッド形式で開催された。編集部から紹介するのは、Daphne Costa Lopes(ダフネ・コスタ・ロペス)氏の「NRR」の向上をテーマにしたセッションだ。ロペス氏はHubSpotの英国カスタマーサクセス責任者であり、ポッドキャスト「This is Growth!」のホストも務める。新興企業からフォーチュン500企業まで、10年以上のCX業界経験を活かし、GTMとCXチームの創設、大手企業へのCX戦略の変革指導、カスタマージャーニーの再構築支援まで幅広い分野で活躍している。ロペス氏が指摘する顧客目線でのGrowth Journeyと顧客維持率の向上の関係性について、掘り下げていこう。
カスタマーサクセスにおける「Growth」とは何か?
「NRR(Net Revenue Retention)」とは、日本語では売上維持率もしくは売上継続率と訳される。SaaSを代表としたサブスクリプション型ビジネスにおいては主要KPIであり、成長率を測る指標として使われている。
NRRが伸び悩み、解約率にカスタマーサクセスチームが頭を悩ませている企業は少なくないだろう。ロペス氏は「NRRを高めるには、顧客の成果(Growth)に焦点を当てることだ」と語る。
では、Growthとは具体的に何なのか。そもそも、HubSpotは企業活動において「Connected Growth」という概念を掲げている。これは「個人」よりも「自社」、さらに「自社」よりも「顧客の成長」を優先するという行動指針であり、次のような図で示されている。

では、カスタマーサクセスにおいて「Growth」はどのようにして測るのか。一般的には、次のような図にある項目だ。

しかし、このメトリクスは企業目線になっている。「Connected Growth」における顧客の成功を第一とする原則をベースに考えた場合、本来は顧客目線で考えなければならないはずだ。
ロペス氏は、収益を上げるためにソフトウェアの購入を検討している、小規模なビジネスを例に挙げた。この顧客がCRMソリューションの購入を決め、実際に導入して運用していく顧客目線でのGrowth Journeyは、次の5つのステップに分かれる。さらにそれぞれのステップにおいて、メトリクスは次のように当てはまる。


「多くの企業がStep1、2、5、つまり顧客の成長率と使用率を測定していますが、Growth Journeyを追い切れず、顧客が実際に商品に価値を感じているかどうかは把握できていません。顧客が目標を達成しているかを、正確に知る必要があるのです」とロペス氏は語る。
では、なぜStep1、2、5を測定するだけでは不十分なのか。ロペス氏は例として、ヘルススコアを挙げた。ヘルススコアは使用率のメトリクスであり、実際にソリューションを使用している量に基づいて算出される。しかし、使用率と顧客が得られた成果や感じている価値は、必ずしも一致しないことを指摘する。
「大きなショックを受けるかも知れませんが、キャンセル時、ほとんどの顧客のヘルススコアはグリーン、つまり使用率は良好な状態なのです。スイカのように、外から見れば緑なのに、実際に切ってみると中は真っ赤。顧客にとって真のヘルススコアは真っ赤なのに気づかず、結果としてステータスは緑のまま解約に至っているわけです」(ロペス氏)
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猪飼 綾(イカイ アヤ)
キクカク及びライティングユニットおたばぶのライターとして、IT・機械技術を中心に、ものづくりから飲食まで幅広い分野で取材・執筆。また、読者に愛されて、積極的かつ継続的な購買につながるファンマーケティングの観点から、オウンドメディアの運用支援やSNS運用など、Webマーケティング、ブランディング支援を行う。
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