営業なら誰もが行っている「ヒアリング」ですが、質問すればお客様が素直に答えてくれるかと言うと、そうでもありません。聞き方によっては、まともな答えが返ってこないことも多いのです。それでは意味がありません。サイレントセ―ルスの第一人者・渡瀬謙さんが「営業に対する思い込み」を取り除いていく本連載。第7回は「お客様が本音を話してくれるヒアリング」を解説します。
顧客の心を閉ざす「誘導尋問」に注意!
ヒアリングの本来の目的は、顧客の正確な情報を聞き出して的確な提案につなげること。提案が相手の心に刺さるかどうか、受注できるかどうかはヒアリングの良し悪しにかかっていると言って良いでしょう。それにも関わらず、まるで儀式のように形式的に質問しているだけの人が案外多いのです。
ヒアリングが苦手な人の特徴として、「売る」ことを目的とした質問をしていることが挙げられます。次の例では、商品・サービスを売るために、お客様の答えを誘導しているのがわかります。
営業 会社の業績をもっと伸ばしたいと思いませんか?
お客様 まあ、そうですね
営業 そのためには優秀な人材が必要ですよね!
お客様 はい、まあ……
営業 そのような人材を弊社の広告で募集しませんか?
お客様 …………
このような「誘導尋問」にお客様は敏感です。「その手には乗らないぞ」と心を閉ざし始めてしまっては、正確なヒアリングはもうできません。

ヒアリングは「誘導」ではなく、自社の商品・サービスを売るべき相手かどうかの「確認」です。そのため「売らない」という選択肢もあり得るのですが、売ることを前提としてしまうと、正確に判断できなくなってしまうでしょう。「このお客様には自社の商品・サービスが役に立つから売るべきだ」と判断できてから初めて、次のステップである商品説明を行うべきなのです。
「売るか売らないかはヒアリングのあとで決めること」というフラットな態度こそが、お客様の本音を引き出すことにつながります。 「売る気を見せない」こと、ましてや誘導質問をしないことをまずは心がけましょう。そのうえで、次ページでは、本音を引き出す質問の仕方を解説します。
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有限会社ピクトワークス 代表取締役 渡瀬謙(ワタセ ケン)
1962年、神奈川県生まれ。小さい頃から極度の人見知りで、小中高校生時代もクラスでいちばん無口な性格。明治大学卒業後、精密機器メーカーに入社。その後リクルートに転職。社内でも異色な「無口な営業スタイル」で、入社10ヵ月めで営業達成率全国トップになる。94年、有限会社ピクトワークスを設立。広告などクリエイティブ全般に携わる。その後、事業を営業パーソン教育の分野にシフト。日本生命保険、三菱UFJ銀行、野村證券など各業界のトップ...
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