オムニチャネルではシステムをつなぐのもひと苦労だが、それぞれのチャネルにおける「接客姿勢」が問われるという。真の企業力が問われることになった今、大企業はどのようにデジタルマーケティングに取り組んでいるのか。Nexal上島千鶴さんにお話をうかがった。
オムニチャネルに不可欠な、カスタマーエクスペリエンス再設計
――BtoC企業の最新のダイレクトマーケティング事情を教えてください。
バズワード的なところから入ると、やはり「ビッグデータ」の活用具体策です。CRMはもちろん、サイト上での行動やソーシャルメディアでのつぶやきなど、非構造的なリアルタイムデータも活用したマーケティング戦略を実現したいという声を聞きます。
人によってはそれをビッグデータではなく、オムニチャネル戦略、One to Oneコミュニケーション最適化、お客さま視点でのCX、実現するためにキャンペーンマネジメントやマーケティングオートメーションなどのマーケティングプラットフォーム、DMPなど異なる言葉で表現されますが、方向性は各社さん同じです。
企業視点でなく顧客視点で、お客様のライフサイクルやライフステージを捉えたうえで、タイミングよくアプローチしていきたいということ。実店舗の対面接客であれば自然に行われていたことですが、インターネット上でも1人ひとりに合わせた対応が技術的に可能になってきたわけです。
これまで店舗は店舗、ネットはネットと分かれていたけれど、顧客視点から見れば、店舗でもネットでも同じブランドとして接しているのだから、もう一度顧客視点でのストレスのない買い物体験を設計し直そうと。ロイヤルカスタマの行動を分析すると、チャネルを横断してることにやっと気づいた企業さんから、やる気に火がついたんだと思います。
横文字ではカスタマージャーニーとかカスタマーエクスペリエンス、日本語ではおもてなしなどと言われていますが、個人的にはシームレスなタッチポイント(接点)の再設計と顧客のタイミングに合わせたリアルタイムコミュニケーション設計がポイントだと思っています。
ECサイトだけの話であれば、検索して決済するまでのユーザーエクスペリエンスの話で終わりですが、オムニチャネルのカスタマーエクスペリエンスの話になると、購入した後に宅急便を受け取る、箱を開ける、商品を使う、箱を捨てる、次に買うタイミングという一連の体験サイクルで考える必要があります。たとえば会員制度で入会が基点となれば退会手続き、その後の再入会することまで考えて設計しないといけないということです。顧客は常に循環してますから。
カスタマーエクスペリエンス設計をし直す場合、チャネルも組織の壁も超えて、顧客と接点があるチャネルすべての対応姿勢、提供する情報など顧客の体験要素を統一化しなければなりません。それをブランディングだという人もいますが、接客姿勢にどう移すかまで具体的な指針として落とし込まないと。
もし、すべての対応をマニュアル化して、1から10まで現場に教え込むという押し付け型のスタンスで統一していくと、たとえばトラブルが起きた時に柔軟に対応できないかもしれない。企業姿勢や思想としてどのように顧客と接していくかまで浸透させていかなくては難しいのです。
つまり、顧客の動きを想定した上で、ウェブ、電話、それぞれのチャネルでどういう対応をするのか、そこでお客さまはどのような期待を持ちどのような体験を重ねることになるのか、です。設計し直すには、検討しなければならないレイヤーが何層にも分かれていて、どこから手を付けるかに悩んでいる企業さんが多いです。
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倭田 須美恵(ワダ スミエ)
2013年11月11日、ECzine立ち上げ。ならではの視点でECに関する情報をお届けしたいと思います。
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