ECの枠にとらわれず、変化し続けること
――ECで言うと、コンテンツマーケティングが新しい集客手法!という意味で流行っていると思うんですが、単にブログ記事を増やすくらいでは太刀打ちできなさそうですね。
「僕らのような小規模な事業者のある1つの施策が、一定期間うまくいくということはあると思いますが、盤石な1つのビジネスモデルとして確立するかというと……。今、コマースが注目されていますが、そもそもECがビジネスとして優れているとか、これから良くなっていくとか思えないんです。
欧米と比較して日本のEC化率は半分くらいだから、これから伸びていくだろうという考えかたがありますが、果たしてそうでしょうか。日本は狭い土地に小売店が軒を連ねていて、3駅に1つくらいファッションビルがあるところに、人口の6割くらいが住んでいる。そこで、通販がニッチなビジネスの域を超える日が来るのかなとずっと思っていたんですが、最近になってオムニチャネルというコンセプトが出てきました。まだどうなるかわかりませんが、日本の小売の事業環境を考えると、こちらのほうが正当な進化のようにも思えます。
だから僕たちも、ECの枠にとらわれていたらいずれ行き詰まるのかなと危機感を感じています。数年前僕らがメディア化しようと決めたのも、ネットショップ=『ネット上のお店』という枠に行き詰まりを感じての取り組みですから。そして、それは僕らにとっては数ある選択肢の1つではなくて、当時の自分たちの持ち物と置かれている環境を考えると『メディア化しなければ未来はない』という1択でした。市場というとんでもなく強い敵を向こうにまわしたら、零細事業者である僕たちにほとんど選択肢はありませんでした。
ECもある1つの機能で、その機能が突き抜けるとメディアになって、メディアが突き抜けると自社だけで使い切れなくなるから、出版になる。方法論は変わりますが、つまりはプラットフォーム化していくということですよね。
僕も、2年に1回くらいは行き詰まっていますが、定義を変えれば何とかなるというのがわかってきました。『北欧、暮らしの道具店』では、メディア化の次は『出版』をやります。雑誌のように広告を掲載したり、今、紙の本も作っているんです。3年前にメディア化の話をした時に、あんまり理解してもらえなかったように、出版の話も今は『?』だと思うんですけど(笑)」
――EC事業者にも、かなり大きな変化が求められているということですね。
「今残っているところは、変化してきたんじゃないでしょうか。長く続く老舗の和菓子屋さんも、味は変わり続けているとか聞きますよね。僕らも、お客様から見れば『読み物増えたなぁ』くらいかもしれませんけど、事業体は変化し続けてきました。
僕らのやりかたが変わっていると言われることもありますが、それはたまたま3年前に公の場でメディア化について話したから、ちょっと注目されているに過ぎない。表には出ないけれど、頑張っているところは他にもたくさんあると思っています」
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- この記事の著者
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倭田 須美恵(ワダ スミエ)
2013年11月11日、ECzine立ち上げ。ならではの視点でECに関する情報をお届けしたいと思います。
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・[執筆]NP通信※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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