EC事業者がおさえておきたい、13のテクノロジー関連トピックスの「定点観測」。withRiverの白河さんに、越境ECについて聞きました。※本記事は、2018年9月25日刊行の『季刊ECzine vol.06』に掲載したものです。
越境ECの仕入れ先にも Amazonおそるべし
越境ECに関するひとつめのトピックスは、意外にもAmazonだ。物流サービス「フルフィルメント by Ama zon(FBA)」には、Amazonに在庫を預けることで海外にも発送してもらえる「FBA海外配送プログラム」があるが、その料金が国内への発送と同じ手数料になることが発表されている。
「最近のAmazonは、1日2,000〜3,000件は海外に発送しているようです。出荷先は、圧倒的に中国ですが、アジアも多い。もちろん一般ユーザーも購入しているのですが、どうやら転売目的と思われるような大量の注文も見受けられるとか」
これまで卸売業者やドラッグストアなどから仕入れて転売していたブローカーも、Amazonで仕入れるほうが安いため、そちらに流れていると言う。
「日本のメーカーは、輸出費用・税金等も考慮して中国の代理店を経由し、日本価格の1.5〜2倍で売ろうとしてきました。しかし中国の一般消費者はAmazon.co.jpを見ていますから、その価格では勝ち目がない。日本の消費者と同じ価格、Amazonプライスに近い価格でないと、現地中国でもモノが売れなくなっていくでしょう。Amazonおそるべしです」
越境ECの壁のひとつが配送料だが、国内の配送料に値上げがあったのは周知のとおり。商材によっては海外への配送料のほうが安い場合もあるため、販売者も越境ECでの販売をためらう理由がない。
とはいえ、中国の消費者のニーズに応えようとすれば、大量の在庫が必要になるはず。Amazonから仕入れるだけでは、限界があるのではないだろうか。
「Amazonは非常に強いバイイングパワーを持っています。FBAはサプライチェーンがしっかりしていて、過去の売上等を考慮して『在庫をこれくらい補充してください』というアラートを自動で出してくれます。その売上に、中国からの大量注文が寄与している可能性もあります。アラートどおりに在庫を補充するかは、販売する事業者の判断になります」
夏のセールで在庫余り ダブルイレブンどうなる
中国のネットセールでは11月11日のダブルイレブンが有名だが、6月18日も大きな夏のセールで、越境ECのひとつの山場だ。618の結果を見て白川さんは、「Tmall以外のモールで、注文が落ちてきている」と言う。
ダブルイレブンに向け、出店企業が準備を始めるのは夏からだと聞くが、618の結果を受けた対策は。
「中国のモールは、Amazonのようにシステマチックに需要予測をしているわけではなく、まだまだバイヤーのカンに頼っているところが多いです。そのカンどおりに、売れなくなってきていると思ったほうがいい。彼らの対策のひとつとしては、在庫を積んでも返品OKにするといったことはあります」
昨年アリババから発表されたダブルイレブンの国別売上では日本が1位だったが、日本製品に対するニーズにも陰りが見えてきていると言う。
「前回もお伝えしたとおり、中国の越境ECモールのトップページを見ると、ヨーロッパ、韓国ブランドのコスメが全面に出てきていて、日本製品が落ちてきています。インバウンド観光についても、たとえばこれまで4隻予約していたクルーズ船の、うち2隻がヨーロッパ行きになっているという変化がある。インバウンド観光も1周したようです」
日本製品の課題は、ブランディングが不足していること。
「商品名は覚えていても、メーカーやブランド名を覚えてもらえていない。売れたとしても一過性に終わってロングセラーになりにくかったり、新商品を出してもイチからブランディングを始めなければならないんです。覚えてもらえないのは、欧米を意識して商品名をつけているから。中国の消費者の人たちとって横文字は覚えにくく、結果SNSでもシェアされにくいんです。日本のある健康食品メーカーで、四字熟語で商品名をつけているところがありますが、やはり覚えやすいようで根強い人気があります」
ちなみに中国でのプロモーションのトレンドとしては、インフルエンサーである「網紅」と呼ばれる人たちによる、5~10秒の短い動画らしい。売れ筋商品としては、健康ブームを受け、プロテインほか、健康器具の引き合いが増えていると言う。
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withRiver 株式会社 代表取締役社長・コンサルタント 白川久美(シラカワクミ)
複数外資系メーカー勤務後、アマゾン、楽天、ア スクル、ローソンで物流センターや新規サービ スの立ち上げを経験し、本年7月に物流・越境 ビジネスのコンサルティング会社を設立。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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