「リーチ数がすべて」からの脱却 デルのアンバサダープログラムがたどり着いたファンづくりのかたち
マーケティング畑で数字を追いかけてきた横塚さんは今、その成果を数字でとらえることが難しいアンバサダープログラムに、情熱を傾けていた。※本記事は、2019年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.08』に掲載したものです。
ノートパソコンやデスクトップパソコンなどを扱うデルでは、今回のテーマでもある、「最初に声がかかるお店」になるためのひとつの施策として、2016年にアンバサダープログラムをスタートした。アンバサダープログラムとは、長期的に顧客とコミュニケーションを取りファンを作っていくもの、という認知はEC事業者の間で浸透してきたようにも思う。だが一方で、広告などの施策と比べてリーチできる数が少なく、かつその成果が見えづらいのも事実。また、顧客との密な関係の構築や維持が求められるため、社内のリソースを多く必要とする。こういったことから、アンバサダープログラムの実施に関心はあっても、なかなか着手できていない企業やブランドもあるのではないだろうか。「マーケティングはリーチ数がすべて」。デルでアンバサダープログラムを立ち上げた横塚知子さんも、最初はそう思っていた。
マーケの畑にいたからこそ感じた アンバサダープログラムへの不安
横塚さんは、大学院を卒業後、ベンチャー企業で営業を3年間経験。「ハイヒールを履きつぶすくらい」とにかく外を回ったという。2社目のマーケティングの会社では、マーケティングのイロハを学び、3社目に選んだのがデルだ。最初の1年は中国に赴任するも、業務領域は一貫してマーケティング。現在は、日本市場におけるコンシューマーやスモールビジネス向けのマーケティングを担当している。
そんな横塚さんがアンバサダープログラムを立ち上げたのは、2016年の12月。企画自体は2015年ごろからすでにあったが、「ものすごい即決派」と自身を表す横塚さんが、この施策だけはどうしてもすぐに決断できなかったという。
「アンバサダープログラムを立ち上げるということは、アンバサダー、つまり会員になってもらうということ。そうなれば、どんなに人数が少なくても、会員の方が10人でも100人でもいれば、途中で辞めることはできません。だから、このプログラムをスタートするなら、覚悟を決めて必ず成功させなければいけない。そう思って考えを重ねてみたものの、なかなかうまくいくイメージが湧きませんでした。デルは直接モノを売るプロであるはずなのに、実際にお客様と会うことはほぼなかったので、お客様を目の前にしたときにどう関係を築いていくか。そこに、すぐには自信が持てなかったんです」
大事なのは、どれだけの顧客にリーチすることができるか。その指標は間違いなく数。マーケティング畑で経験を培ってきた横塚さんはそう考えていた。だからこそ、アンバサダープログラムがテレビと同じだけのリーチを集めることができる施策だとは到底思えなかった。
「たとえばテレビなどのマス広告を打つと、たくさんのリーチが獲得できますよね。でもアンバサダープログラムでは、どうやってテレビと同じ数のリーチを集めればいいんだろうと思ったんです。今考えれば、リーチの重みや質がまったく違うことは理解できますが、その当時はなかなか腑に落ちなかった。リーチ数を指標と考えると、アンバサダープログラムはやはりインパクトが小さいように思えました」
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- この記事の著者
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ECzine編集部 中村 直香(ナカムラナオカ)
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