AIを機能させるための営業改革
このようにAIと人間は、“食材”と“調理”の関係が理想的ですが、AIの急速な進展によりAIが“調理”の一部工程(言うなれば“下ごしらえ”)まで担い始めているのも事実です。そうすると、AIの精度をいかに高めるかが競合に対する差別化要因の一つとなっていきます。
AI精度の向上には、結果データの蓄積が不可欠です。具体的には、どのような提案が受注に至ったのか、その原因は何か。こうしたデータを蓄積・分析することが重要です。
さらに詳しく言うと、顧客データや商談データ(特に営業現場での顧客との直接的な対話を通じて得た定性データ)、自社独自の成功・失敗パターン(SFAデータ)をAIに読み込ませることで、一般的な公開情報ベースの回答ではなく、「自社の強みを活かした、自社専用の高度な提案仮説」をAIが生成できるようになるのです。
そのためには、SFA(CRM)にこのような提案データ、商談データ、顧客データが正しく入力されている必要があります。また、それらのデータが構造化されていることも必要な条件です。多くの企業から、営業組織へのAIの導入を相談されますが、ほとんどの企業はこのようなデータの蓄積も構造化も実現できていません。だからこそ、営業改革(業務・システム両面)と定着化を実施し、データを蓄積するための正しい業務・マネジメントを営業現場が着実に実行する状態を創出しなければならないのです。
「営業の仕事は今後どのように変わりますか?」という質問をよく受けます。もちろん業種・業態で異なる部分はありますが、営業はより顧客に寄り添い、顧客とともに共創しながら経営課題・事業課題を解決するというミッションに進化していくのではないでしょうか。
単に商材の機能と価格を説明するだけであれば、それこそAIに簡単に代替可能です。企業として、営業組織として課題解決型営業を推進・高度化していくことは、今後どの企業においても経営レベルの課題になっていきます。AIが普及・進展している現代だからこそ、AIと正しく向き合い、正しく活用しながら顧客と寄り添って事業課題を解決していく営業への進化が求められるのです。
