単なる野球場を超え、巨大なエンターテインメント空間として進化を続ける「北海道ボールパークFビレッジ」と「エスコンフィールドHOKKAIDO」。同施設を運営するファイターズ スポーツ&エンターテイメントは、共通IDや公式アプリを軸としたデータ統合を行い、従来のスポーツビジネスの枠を超えたマーケティングを展開している。新規の観光・ライト層獲得から、複数回来場への習慣化、さらにカスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」を用いたOne to Oneコミュニケーションまで。「ファンの習慣化」を生む、データドリブンマーケティングの全貌に迫ります。
「野球ファン」の枠を超える観光層と若年層戦略
━━Fビレッジという巨大なエンタメ空間へ、従来のプロ野球ファン以外の「ライト層・観光層」を新規獲得するにあたり、どのようなプロモーション戦略を組み立てられたのでしょうか。
田邊:直近で力を入れているのは、インバウンドを含めた観光客の集客です。北海道には年間300万人の外国人観光客が訪れるなど、全国でも有数のポテンシャルを持つ観光地です。
しかし、多くの観光客にとって、Fビレッジ・エスコンフィールドは「野球場」という印象が強く、野球に興味がない方々にご来場いただくハードルが高い印象があります。私たちが目指すのは、“東京タワー”や“スカイツリー”を見に行くのと同じ感覚で、観光スポットとしてご来場いただくことです。
━━観光スポットとしてご来場いただくには、野球の試合を見に行く以外の動機を作ることが求められますね。
田邊:そうですね。そのために、 Fビレッジの施設自体の体験価値を伝えなければなりません。たとえば新千歳空港から札幌駅への動線、札幌駅からすすきのまでの地下歩行空間、すすきの交差点の看板などに広告を出すなど、着地型のプロモーションを強化しています。
田中:一方、国内で言えば、若年層の獲得にも注力しています。インタビュー調査を実施して実感したのですが、若年層はSNSでの発信力があり、自らコミュニティを作って友人を連れてきてくれる力が非常に強いことです。
スポーツは幅広い層から愛されるものなので、若年層以外の世代とともに、口コミで広げてくれる若年層へのアプローチを強化することが、新規来場者の持続的な増加につながると考えています。
複数回来場への習慣化。アプリが仕掛ける行動デザイン
━━初回来場した新規顧客を「リピーター」になっていただくために、公式アプリなどでどのようなコミュニケーションを行っていますか。
田邊:野球事業における課題の一つは、初回の来場から次回来場へのハードルが高いことです。野球に興味がある方もない方も、初回の体験が良くなければ、次回のご来場はなかなか難しいですし、体験価値として良かったとしても、自らチケットを購入して、来場するという行動に移すのは難しいと思います。
田中:そこでハブとなるのが、「Fビレッジ公式アプリ」です。現在、90万ダウンロード、MAU(月間アクティブユーザー)は30万を超え、試合日来場者の2人に1人以上が利用しています。単なる会員証や地図としてだけでなく、アプリ自体にエンタメ性を持たせています。たとえば、来場時にGPSや合言葉で参加できる「チェックインチャレンジ」です。
━━試合中にも、スマートフォンを開く仕掛けがあるとお聞きしました。
田中:大型ビジョンとLINEミニアプリを連動させた「しゃけまる放流タイム」や、ルーフオープンのタイミングに合わせたクイズ、試合終了後にグラウンドレベルで行うカラオケ大会の投票など、試合の状況に応じたコンテンツを提供しています。

「野球を見る」だけでなく、アプリを通じて球場全体とコミュニケーションを取ってもらう。この体験の積み重ねが「また来たい」という動機に繋がると考えています。
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道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)
1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...
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