新たなテクノロジーを導入しても、それらを定着させるのは至難の業です。営業DXを実現して事業成長へとつなげるためには、いったい何が重要になるのでしょうか。2024年7月12日にSalesZineが開催した「SalesZine Day 2024 Summer」では、富士通のデジタルセールス組織を立ち上げた友廣啓爾氏、営業プロセスを含む全社的な構造改革をリードしてきたロート製薬 山中雅恵氏、顧客データ基盤の構築から社内のDXを推進するTBMの梁田将史氏が登壇。「営業DX座談会──“泥臭い組織文化の変革”と“テクノロジー活用”のバランスとは?」と題したセッションで、営業DXの難しさや浸透させるための工夫、目指すビジョンなどについて意見を交わしました。
「先発完投型」から「チーム」で挑む営業組織へ
高橋(SalesZine編集部) テクノロジーを導入することと、活用して成果につなげることには大きな違いがあります。その壁を乗り越えて営業力強化や事業成長を実現するための秘訣についてお話をうかがい、ヒントを探りたいと思います。
まずは、皆さんが営業DXに挑んだきっかけを教えてください。友廣さんはなぜデジタルセールス組織の立ち上げに挑戦されたのでしょうか。
友廣(富士通) 外資系企業と比較して、日本企業の営業スタイルは「先発完投型」であり「労働集約型」だと感じていました。人さえいれば生産性が上がる、言い換えれば、1人ひとりの負担や成果に左右されやすい仕組みと言えます。
この営業スタイルを分解して分業型にすることによって、生産性や営業利益率を上げられないだろうかという仮説のもと立ち上げたのが、富士通のインサイドセールス機能を担う「デジタルセールス組織」です。セールスとマーケティングが足並みをそろえて売上にコミットするという意味でも、挑戦的な取り組みと言えますね。
カスタマーグロース戦略室 Demand Generation Division VP, Head of Demand Generation Division
友廣啓爾氏
印刷会社、IT系出版社を経て、日本HPでIT業界へ。SAPジャパンを経て、日本マイクロソフトに8年以上在籍し、インサイドセールスと掛け合わせたマーケティング職を経験。SAPジャパンに戻り、デジタルマーケティングとインサイドセールスの機能を持ったマーケティング組織の責任者を4年務めた後、現在の富士通に入社。
高橋 外資系企業での経験と言う点では、山中さんも共通するところがあるかと思いますが、いかがでしょうか。
山中(ロート製薬) そうですね。かつて所属したIBMなどの外資系企業では、CRMやSFAを提案するベンダー側として働いていたのですが、事業側に回ると見える景色が変わるものですね。外資系企業と日本企業という観点に加えて、ベンダー側と事業側、両方の経験が活かされたと思います。
これまで経験した改革の中で、パナソニック コネクトの取り組みについてお話しすると、全社的なポートフォリオ改革にともないプロダクトの製造・販売からソリューション営業へシフトしたことが、営業DXに取り組んだ大きなきっかけです。
ソリューション営業では、幅広いステークホルダーからお客様の課題をプロアクティブに把握し、解決策を提案しなければなりません。先発完投型の個人戦では無理がありますから、営業は「チーム戦」へシフトする必要があります。チームで勝つ営業組織を実現するプロセスやプラットフォームをつくるため、DXを含む営業改革に取り組みました。
取締役 AI/CX 推進マネージングコーディネーター 兼 戦略デザイン本部 E.designer
山中雅恵氏
慶応義塾大学卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社に入社、女性初の大手法人営業担当後、IBM Asia Pacific社長補佐、IBM General Business製造業担当営業部長等に従事。その後、日本マイクロソフト株式会社で業務執行役員流通サービス統括本部長、LIXILジャパンカンパニーで執行役員特需開発事業部長を歴任。2017年パナソニック株式会社入社。B2Bソリューション事業(現、パナソニック コネクト)の柱となる「現場プロセス」関連のビジネスやBlue Yonderの日本事業を推進。2024年5月ロート製薬に入社。CXも含む全社の構造改革に取り組む予定。
高橋 ありがとうございます。SFAやCRMの導入では、情報システム部門との連携も必要不可欠と思います。TBMさんではどのようなきっかけで営業DXに挑戦したのでしょうか。
梁田(TBM) TBMについてかんたんに紹介すると、環境配慮型素材「LIMEX」の開発・製造・販売事業と、使用済みのプラスチックおよびLIMEXを原料とした再生素材の循環を促進する「資源循環事業」のふたつのサステナビリティ領域の事業を中心に展開しているディープテックベンチャーです。
拡大フェーズに入り、これまでのように個人商店型でトップセールスだけが売上の土台をつくるのではなく、営業の「型」化によって再現性を高め、分業型で営業活動を行う必要が生じました。そのためには事業戦略を踏まえた適切なソリューションの導入が必須であり、テクノロジーやデータをあつかう情報システム部門がメインとなって、各事業部のトップと連携しながら営業DXに取り組み始めたのです。
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SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)
新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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