米国では既に注目が集まっているSalse Enablment(セールス・イネーブルメント)。日本ではまだ聞きなれないその概念を司る専門チームが、あのSansanで発足した――そんな噂を聞きつけ、同社のセールス・イネーブルメント・グループ発起人である畑井丈虎さんに、グループ発足の背景や具体的な取り組みを伺った。
工業大学生が出会ったIT営業の道
――学生時代は工業大学でマテリアルサイエンスを専攻されていたと伺いました。理系出身の畑井さんがIT企業の営業職を志して現職に至るまでの経緯を教えてください。
学生時代に海外旅行でケニアを訪れた際、決済手段のほとんどをモバイル決済が占めていたことに衝撃を受けました。現地の経済が活性化されていて、「ITってすごい」と感じたことがIT業界を志すようになったきっかけです。IT業界に身を置くならばプレーヤー側に回った方がおもしろそうだと思い、新卒入社したSansanで営業職を希望しました。入社後はインサイドセールス部門で学び、大手金融機関の営業担当を経て現職に至ります。
――営業現場ではどのようなことを学ばれたのでしょうか。
幸運なことに、入社した時の上司が元大手ベンダーのトップセールスだったんです。その方からフェーズ管理や営業予測などの基本的なプロセスをしっかりと踏むことの重要性を教えてもらいました。
当時から、現在の業務で取り組んでいる「営業を科学すること」を意識していましたね。たとえば、一般的なテレアポの場合、取れたアポの件数をKPIにするケースが多いと思うのですが、僕が所属していたインサイドセールス部門では案件化の有無や受注金額などアウトプットの質にフォーカスしてPDCAを回していました。
――その後はエンタープライズ向けのセールス業務に半年間携わられ、かなり優秀な成績を収められたそうですね。BtoB営業のおもしろさはどのような点にありますか。
新しい市場が開拓できるところではないでしょうか。マーケターとBtoB営業には似ている点も多いと思います。BtoB営業はよりお客様の声を直接聞くことができるので、まだ市場にないニーズを発見して開拓することもできますし、場合によってはお客様からいただいた要望をプロダクトサイドに提案することもできます。プロダクトを進化させることで、さらにマーケットを開拓できる可能性もあります。ニーズをキャッチしてマーケットを開拓できるチャンスが誰にでもある点は、BtoB営業のおもしろいところだと思います。
営業を科学するセールス・イネーブルメント・グループ
――現在、畑井さんが責任者をつとめられているセールス・イネーブルメント・グループとはどのような組織なのでしょうか。
「営業の戦闘力を上げる組織」だと捉えています。僕が好きな『ランチェスター戦略「一点突破」の法則』(日本実業出版社)に「戦闘力=武器効率×兵力数の2乗」という法則があるのですが、この法則は営業にも置き換えられると思うのです。営業の場合は武器効率が営業の質、兵力数が営業の人数ですね。セールス・イネーブルメント・グループは営業の質と人数を伸ばすために、社員3名とアシスタント3名体制で教育と採用を行なっています。
――セールス・イネーブルメント・グループが組織されたきっかけを教えてください。
目標としている「事業の50%成長」を目指すためです。50%成長するためには、営業の人数を増やすための採用と、営業1人あたりの単価を上げるための教育を並行して行わなければいけません。当時、教育は営業部に、採用は人事部に任せていたのですが、どちらにも課題がありました。
まず教育面では、80人しかいない営業部に毎月5〜10人ペースで新しいメンバーが入ってくるので、現場に負荷がかかっていました。また社員が個別に教育を行っていたので、担当者によって質がバラバラになっていたことも問題でしたね。次に採用面ですが、数少ない優秀なソリューションセールスを巡る他社との争奪戦を勝ち抜くためには、現場の話ができる人間に選考を担当させて候補者を惹きつけなければいけないという課題が見えてきました。そこで、営業の現場を経験した僕が中心となり、営業の採用と教育を横串で見るセールス・イネーブルメント・グループが立ち上がりました。
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SalesZine編集部 渡辺佳奈(セールスジン編集部 ワタナベカナ)
1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、SalesZine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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