営業改革に取り組む先進企業では、すでに注目を集めている「セールス・イネーブルメント」。30年にわたり、営業組織強化の支援を行ってきた富士ゼロックス総合教育研究所が、翻訳書『セールス・イネーブルメント』を2019年1月に上梓した。序文にもコメントを寄せる同社の小串記代社長に、日本の営業組織の抱える課題とセールス・イネーブルメントという考え方について伺った。
営業はまだまだ個人の経験値重視
――小串さんが人材開発に携わるまでのキャリアについて教えてください。
キャリアのスタートは新聞社で、その後メーカーの秘書室で海外の渉外担当をしていました。その仕事の中では、素晴らしい経営トップの営業場面を間近で見る機会が多くあり、「人材」に興味を抱くきっかけになりました。
また当時から女性社員の育成を担当することもありました。働き始めたころはまだ雇用機会均等法もないころで、私は総合職一期だったのですが、まだまだ女性が働く環境としては未成熟でした。それから時が経ち、男性社会だったメーカーの後輩に会うと、女性が部長や理事になっていることもあり、時代の変化を感じています。
――「育成」に関心を持たれて御社へ入社されたのですね。小串さん自身が営業畑でないところからキャリアをスタートされていますが、営業に特化した教育の面白さはありますか。
営業教育では、研修の結果が営業成果にどう貢献するかが問われます。たとえば、営業がより新規開拓をするようになったとか、受注プロセスが短くなったとか、さまざまな要因が売上という成果につながっています。教育支援においても、とても実践的で現場の活動と連動することが求められるので、難しさもありますがやりがいもあり、楽しいところだと思っています。
――かつて国内2,000人の営業パーソンを対象に、コンピテンシー調査を行って、海外の営業トレンドを分析し日本の企業に提供されていたと伺っています。営業プロセスを標準化していくという考え方は当時の日本企業に受け入れられたのでしょうか。
内部から営業組織を改善していこうとすると、「売れる営業」がノウハウの共有に抵抗を示すということもありました。当時は、「ロイヤルカスタマーづくりの重要性」が言われており、組織全体を底上げするためには、ハイパフォーマーの自己開示による「組織知」づくりが必要であるということをかなり丁寧に説明しました。海外はプロセスの標準化に慣れているのですが、日本の営業組織は個人の経験値を重視します。当時から25年を経て、営業プロセスの標準化という考え方が、日本でも受け入れられるようになってきました。現在ではその標準化したプロセスをいかに個々の顧客に応じて柔軟に進化させるかが重要になっていると思います。
メールマガジンに登録無料すると、続きをお読みいただけます
-
- Page 1
-
- Page 2
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
宮田華江(編集部)(ミヤタハナエ)
立教大学社会学部メディア社会学科卒業。2016年翔泳社に入社、MarkeZine・ECzineなどの広告営業を担当。2019年1月に営業組織をテクノロジーで支援するウェブマガジン「SalesZine」を立ち上げる。2020年4月、SalesZine編集長就任。ビジネスメディアの統合を担い、2026年...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
