「せっかくシステムを導入したのに活用されず、業務もバラバラなままで効果が出ない」。多くの企業が、こういった悩みを抱えています。いくら現場に対して声高に叫び丁寧に説明しても、その意図や目的を納得感のある形で適切な対象者に理解してもらえなければ、解決できません。何が問題で、どうすれば解決できるのか。本連載では、真に効果のあるチェンジマネジメントプログラムの考え方と具体的な方法に事例を交え、述べていきます。第1回は、なぜシステムがそもそも定着しないのか、マネジメント層が理解しておくべき「営業戦略」について解説します。
なぜ業務・システムは、標準化・定着化しないのか
「せっかく投資してSFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)を導入したのに、現場で使ってもらえず効果が上がらない」「業務の進め方やシステムの使い方がばらばらで、現場が何をしているのかを把握できない」。このような悩みを抱えている方はいらっしゃらないでしょうか。
当社では、このような悩みをお持ちのお客様からご相談をいただくケースが後を絶ちません。そして、悩みを解決するためにいわゆる「チェンジマネジメント」の施策が実施される場合がありますが、それでも期待したような効果を上げられないという声も多く聞かれます。なぜ、このようなことが起こってしまうのでしょうか。
そもそも、SFA/CRMを導入し期待どおりの効果を得られる企業は多くありません。それは主に、現場における次の3点が原因となっていることが多いです。
SFA/CRM導入で期待どおりの成果を得られない理由
- 「自分流」への固執
- システムに対する抵抗感
- マネジメント不全(Just Looking)
「自分流」への固執は、「長年の経験と勘で売れるから大丈夫」「マニュアルなんて必要ない」といった、自身が正しいと思うやり方を変えようとしないことが原因です。一定の成果をあげているベテラン社員に多く見られます。
システムに対する抵抗感は、「システムの使い方がわからない」「手帳のほうが便利」という拒否反応に加えて、「システムを使うとコミュニケーションが減る」という思い込みから生じます。こちらも、ベテラン社員に多く見られ、デジタルネイティブの若手社員のほうが、抵抗感なくスムーズに受容します。
マネジメント不全(Just Looking)は、「必死で営業しろと言えば現場はなんとかする」「マネジメントは数字を見ていれば良い」という実質的な機能不全に陥っている管理職によく見られます。このような現場の意識や行動が、業務・システムの標準化・定着化の阻害要因となっているのが実情です。
また、業務フロー・ルールは「そのやり方では売れない無用の長物」、システムは「仕事を増やす厄介なもの」としてとらえられる傾向にあります。なぜなら、それらが存在しなくても業務が成立するからです。たとえば、請求関連のシステムなど売上を適切に計上するための業務・システムは営業活動に不可欠なものであり、自身の業績や評価に直結するため、現場にとっては必要なものとして受けとめられます。
しかし、商談プロセスを定義する業務フローとSFAへの活動入力、顧客情報を事細かに入力するためのCRMシステムは、自分たちの業績や評価に直結せず、むしろ余計な業務を増やすものであるという認識を持たれがちです。
このような状況に対し、チェンジマネジメントを掲げ業務フローやシステムの詳細な説明を実施しても効果はありません。また、評価と結びつけた「強制力」のみを発動しても、現場が本質的な意義・目的を理解していないために、本来想定していた業務プロセスやシステム活用がなされず、効果に直結しにくいのです。

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PwCコンサルティング合同会社 マネージャー 奥山友貴(オクヤマトモキ)
2010年に国内シンクタンク系コンサルティング会社に入社。主に食品メーカーや消費者向けサービスの業種において、新規事業企画、CRM関連の業務・システム改革構想策定のプロジェクトに多数従事。2016年にPwCコンサルティングに転職後は、金融・インフラ・通信・モビリティ等の多様な業界において新規事業企画、マーケティング...
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