7ヵ国での累計500回以上の商談・プレゼン経験を活かし、BtoB営業組織に向けて企業研修を提供する営業コンサルタントの城野えんさんが、昨今のIT企業を取り巻く営業課題を考察・解明する本連載。第3回のテーマは、「攻めの営業提案・ヒアリングのポイント」です。ニーズが顕在化されていない状況で商談を前に進めるために、新規営業に挑むうえで取り組むべき「攻めの営業」の具体的な手法を解説していきます。
提案資料を「攻めの営業」仕様へ見直そう
前回の記事「『顧客には課題があるはず』の思い込みを捨てよ!新規開拓営業に立ちはだかる『引き合い対応慣れ』の罠」では、「待ちの営業」のアプローチのまま新規営業に臨んでしまうことのリスクをお伝えしました。それでは、「攻めの営業」では具体的にどのようなことを意識すればよいのでしょうか。ポイントは「事前準備」「ヒアリング」「クロージング」の3点です。
1. 事前準備
過去の連載記事では、新規営業の初回商談においては、「マーケティング部門が作成した」「機能紹介がメインの」「ボリュームのある資料」を流用してしまうと、成約が遠のいてしまうとをお伝えしてきました。ニーズが顕在化していない顧客との商談には、次の3つの見直しポイントに沿って、既存の提案資料を見直してみることをおすすめします。
1) 顧客の課題から製品紹介までの流れを深堀する
ニーズが顕在化していない顧客に対しては、製品紹介の前に「必要性の訴求」を行って共感・納得を得ることが最優先であるため、「開口一番に製品を紹介する」ことは絶対にNGです。商談の際は「顧客からよく見聞きする課題」の話題からスタートすることがベストでしょう。
しかし、これも相手の関心・理解度を過信するあまり「浅い」内容にならないように注意が必要です。たとえば、情報セキュリティ関連商材の提案資料では、「昨今、○○攻撃の被害に遭う企業が増えている」⇒「ですので、この新製品を導入しましょう」と、「セキュリティ被害の増加」という課題を「製品紹介」に直接結び付けるケースが散見されます。しかし、このロジックが通用するのは、提案先の情報セキュリティに対するリテラシーが高く、こちらが説明しなくても「なぜ今導入している製品では不十分なのか」を顧客自身が明確に認識できている場合に限ります。そうでない場合は、きちんと「従来の対策だけでは不十分な理由」を明示し、「売り込み感」を払拭する必要があります。
また、顧客が中小規模の企業である場合は、「大企業で○○攻撃の被害が急増している」と言われても、「自社には関係ないだろう」と対岸の火事として受け止められるケースも珍しくありません。このような場合は、「大企業と取引がある御社にもビジネスリスクがある」という観点をきちんと説明し、「自分ごと」としてとらえてもらう必要があります。
このように、事前準備の段階で「この顧客は、おそらくこの箇所にハテナを浮かべるだろう」「それならば、〇〇の情報を説明文に盛り込むべきだろう」と仮説を立てたうえで資料に落とし込んでおくことが重要です。これにより、「なるほど、だからこの製品は必要なのか」と相手からの納得・共感を獲得しやすくなります。
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株式会社JOENパートナーズ代表取締役/営業コンサルタント 城野えん(ジョウノエン)
慶應義塾大学商学部卒業後、グローバルIT企業に営業職として入社。新卒2年目に新製品受件数1位を達成。社内最年少でシンガポール駐在員となり、東南アジア地域でのパートナー企業開拓や新規顧客開拓を担当。国内外で、ニーズが顕在化していない顧客からの大型受注を次々と獲得した自身の提案営業のノウハウを、誰でも再現できる「仮説提...
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