見込み顧客と深くつながるための手法として注目を集める「インサイドセールス」。その後の商談化・契約の可能性を求め、ウェブサイトや問い合わせ経由で自社に関心を持っている見込み顧客とつながるために導入を進めるIT企業も増加しています。一方、日本の伝統的企業と言える富士通では、関心を持つ前の見込み顧客へ架電を行う「アウトバウンドコール」を中心としたインサイドセールスチームを組織化しています。同社が、「デジタルセールス」と呼ぶその組織はどのようにして立ち上がり、壁を乗り越え、成果を出してきたのか。その成功のポイントに迫る本連載。第1回では、「アウトバウンドコール」を行うBDR(Business Development Representative)を中心に出した最初の成果に迫ります
アウトバウンド&外部ベンダー伴走からスタートしたワケ
すでに関心のある見込み顧客に対応するSDR(Sales Development Representative)からインサイドセールスをスタートするのがセオリーとなりつつあるなか、富士通のデジタルセールスはアウトバウンドコールに注力し、組織立ち上げをスタートしています。
BDRに注力し取り組んだのには、当社のふたつの背景がありました。ひとつめは、富士通がこれまでつながってきた情報システム部門のお客様だけではなく、事業部門のお客様との接点を持ちたかったこと。たとえば、人事や総務の方が自社の課題を解決したい際に、富士通の名前を第一想起してもらえてない状態にありました。
もうひとつは、お客様となる企業の年商は1,000億円以上と規模が非常に大きいこと。そのような規模のお客様はウェブサイトを訪れて情報収集をすることはあっても、その場ですぐに意思決定をすることは少ないでしょう。ただ、これについては実は中小企業でも同様かもしれません。
現在の富士通の状態ではインバウンド型で見込み顧客との接点を得る難易度は高く、少なくともその準備に1~2年を要してしまうと判断し、お客様と能動的に接点をつくることができるBDRにまず注力しました。
加えて、インサイドセールスの立ち上げにおいてよく議論されるのは、「内製か、外注か」。当社では当初から社員による内製化を想定していたものの、立ち上げ時には外部のインサイドセールス支援ベンダーに伴走してもらうことを選びました。
社内の立ち上げには人材獲得だけではなく、架電環境を整えるなどのハードルもあります。もちろん、ベンダーへの依頼もかんたんなものではないですが、まずはコールに長けているベンダーさんとご一緒して、「富士通ならではのデジタルセールスの型」をつくり、早いタイミングで成功体験をつくることを優先したのです。
新しい取り組みは言葉を重ねるだけでは理解してもらえません。外資ではよく「Quick Win」「Small Win」 と呼ばれる「小さな成功体験」をすばやく積み重ねることが日本企業においても重要だと考えたのです。
ベンダー選定については立ち上げメンバーの知見を活かした部分も大きいです。支援側の企業にもさまざまな特徴があります。とにかく数をこなす強みがあるベンダーや、複雑なプロジェクト、商材に対応できるベンダー。当社の場合は、エンタープライズ企業向けのBDRとなるため、その点をクリアできるベンダーを選定しました。
また、自社の営業とタッグを組んでもらう以上、「架電をしてアポを納品して終わり」ではないコミットをベンダー側へ依頼しました。たとえば共有される営業のアカウントプランを理解したうえで架電し、営業とのコミュニケーションも欠かさず、定例会での進捗共有などを行ってもらっています。ある意味社員化の第一歩のような動きですね。もちろん、富士通のことを理解いただくために、こちらからも勉強会を複数実施しています。
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宮田華江(編集部)(ミヤタハナエ)
立教大学社会学部メディア社会学科卒業。2016年翔泳社に入社、MarkeZine・ECzineなどの広告営業を担当。2019年1月に営業組織をテクノロジーで支援するウェブマガジン「SalesZine」を立ち上げる。2020年4月、SalesZine編集長就任。ビジネスメディアの統合を担い、2026年...
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