「口下手だからプレゼンが苦手」「気が弱くて、クロージングが苦手」という人は私の周りにも多いです。しかし、プレゼンとクロージングが上手く進まないのは、本当に口下手・気が弱いといった性質のせいなのでしょうか? 原因を勘違いしたままでは、どれだけロープレを繰り返したとしても、成果にはつながらないでしょう。サイレントセ―ルスの第一人者・渡瀬謙さんが「営業に対する思い込み」を取り除いていく本連載。今回は「プレゼン」と「クロージング」について解説します。
「ロープレ上手」が陥りやすい罠
あなたの周りに、ロープレは上手いのになぜか売上が伸びない人はいませんか? 以前、全国に支社を持つ大企業のロープレ大会に招待されたとき、とあるマネージャーが私にボソッと言ったことがあります。
私の部下は、ロープレは上手いのですが、まったく売れないんです
その人の部下は、地区の代表として選ばれた人物でした。ロープレを見ると、たしかに話し方は上手です。表情も豊かで表現力もありました。しかし、少し気になる部分もありました。あまりにも説明が上手すぎるのです。
「それのどこが問題なんだ」と思うかもしれませんね。しかし往々にして、この「上手さ」の裏に、売れない原因がひそんでいるのです。
たとえば保険や証券など金融系の営業の場合、法律上説明しなくてはいけない内容が多く、商品も複雑で、どうしても説明が多くなってしまいます。そのような業界におけるロープレは、「きちんと説明できているかどうか」のみをチェックする場になりがちです。営業担当は上手に説明することを意識しますし、ロープレをチェックして指導する上司も、説明の上手さを評価対象にしてしまうでしょう。その結果、部下は「説明マシン」と化し、お客様の理解や納得感を置き去りにしてしまう。これが売れない原因となるのです。

説明の上手さと売れるかどうかは必ずしも比例しません。プレゼンでもっとも大切なのは「相手に伝わるかどうか」。だからこそ、商品説明の練習だけでは不十分で、そのひとつ手前のヒアリングからロープレを始めなければ、練習にならないでしょう。逆に言えば、目の前のお客様に伝わるのなら、たとえトークがたどたどしくても、売れる人は売れます。とくに内向型営業は口下手な人が多いですが、トークスキルよりも、相手が理解しやすい説明ができているかをロープレのチェックポイントとして指導すると良いでしょう。
次ページでは、プレゼンのあとの「クロージング」について解説します。
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有限会社ピクトワークス 代表取締役 渡瀬謙(ワタセ ケン)
1962年、神奈川県生まれ。小さい頃から極度の人見知りで、小中高校生時代もクラスでいちばん無口な性格。明治大学卒業後、精密機器メーカーに入社。その後リクルートに転職。社内でも異色な「無口な営業スタイル」で、入社10ヵ月めで営業達成率全国トップになる。94年、有限会社ピクトワークスを設立。広告などクリエイティブ全般に携わる。その後、事業を営業パーソン教育の分野にシフト。日本生命保険、三菱UFJ銀行、野村證券など各業界のトップ...
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