新規事業の立ち上げにおいて、多くの企業が直面する「良いモノをつくっても売れない」という壁。前編では、その背景にある構造的な要因と、既存事業とは根本的に異なる「0→1営業」の本質について解説しました。0→1営業に求められるのは、決められた商品を売る「遂行」のスキルではなく、市場との対話を通じて事業の勝ち筋を見つける「探索」のスキルです。後編となる本稿では、その探索プロセスを具体的にどう進めるべきか、「インタビューと商談の違い」や「検証すべき3つのステップ(CPF・PSF・PMF)」に焦点を当てて解説します。
新規事業がぶつかりやすい壁と「0→1営業」の本質を解説した前編はこちらから!
「売る」ことから始める仮説検証
新規事業の成功確率を高めるうえで、私がもっとも強調したいのは、営業活動を単なる販売チャネルではなく、仮説検証の場として設計するという発想です。「いや、我々はすでにヒアリングやインタビューは徹底的にやっている」と思われる方も多いかもしれません。確かに、昨今では「まずは顧客の声を聞く」というプロセスが定着し、机上の空論だけで開発を進めるケースは減ってきました。
しかし、多くのプロジェクトが「インタビューでの『欲しい』」と「商談での『買います』」の間にある、巨大な断絶に気づいていません。インタビューの場では、相手は友好的であり、「あったら良いですね」というポジティブな意見をくれがちです。しかし、いざ営業として「では、この価格で契約いただけますか?」と踏み込んだ瞬間、相手の態度は一変します。「予算がない」「決裁を通すほどではない」「今の業務フローは変えられない」──。
この、対価を求めた瞬間に初めて現れる「拒絶」や「躊躇」こそが、事業開発におけるもっとも重要な真実です。「インタビューでは高評価だったのに、リリースしてみたらまったく売れない」という悲劇は、顧客接点を「調査(=意見をもらう場)」として行い、「商談(=決断を迫る場)」として行わなかったために起こります。
だからこそ、完成度が不十分なタイミングからでも、「仮説を持って売りにいく」ことが重要です。最初の商談は、「どうすれば受注できるか」を考える場であると同時に、「自分たちの仮説がどこまで現実と合っているのか」を確かめる場でもあります。顧客はどの部分に反応しているのか。想定していた課題設定そのものが、顧客の認識と一致しているのか。導入の意思決定には誰が関わっているのか。こうした情報は、会議室での議論からも、対価を求めないインタビューからも決して出てきません。
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Relicホールディングス取締役CMO/Scalehack代表取締役CEO|Founder 倉田丈寛(クラタ タケヒロ)
リクルートにて法人営業を担当後、独立して複数のマーケティング支援・メディア事業を立ち上げ、成長させて事業売却を経験。その後、経営コンサルティングファームで売上1,000億円超の大手企業を中心にマーケティング/営業戦略の策定〜実行を支援し、専門コンサルティングファームではEC・BtoB領域やMA/SFA導入を通じて顧...
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