AIが営業プロセスを劇的に変えつつある今、問われているのは「どの業務を効率化するか」ではなく、「業務フローそのものを変える覚悟があるか」だ。キーエンス、リクルート、mentoを経て、株式会社Algomaticの営業統括部長を務める藤本賢介氏は、「ウェルビーイングなレベニュー組織」を掲げ、AIネイティブな営業組織をゼロから設計しようとしている。「雑務をゼロにすれば、営業は変わる」──その言葉の先にある組織の未来像と、営業パーソンへのメッセージを聞いた。
「営業は考える仕事」 キーエンス、リクルートで得た知見
──noteでの「営業・BizDevのキャリア」に関する発信が印象的な藤本さんですが、キャリアのスタートから営業としてうまくいってらっしゃったのでしょうか。
1社めのキーエンスでは結構苦労して、試行錯誤しても成果が出ない時期が1〜2年ほど続きました。最初は先輩に言われたことをひたすら真似するだけ。普通に成果は出るけれど、特筆した結果にはならない。自分なりに工夫してみると、むしろ数字が下がる。営業パーソンとしての限界を感じた、それがいちばん大きな挫折でした。
新卒でキーエンスに入社。営業成績で同期最下位からスタートするも試行錯誤を重ね、4年目に全国1位を獲得。2020年より、リクルートにて不動産領域の国内最大手企業を担当し、エンタープライズ営業として経験を重ねる。その後、mentoでは営業戦略の策定から実行までを主導し、創業期の組織立ち上げと事業成長を牽引。2025年、Algomaticに参画。営業統括部長として、営業組織の立ち上げに従事。AIネイティブな営業組織づくりを推進している。
──最初の壁をどう乗り越えたのでしょうか。
転機は上司からのひと言です。それまでの私は「どうやって商談数を倍にするか」ばかり考えていました。営業は確率論なので、行動量を増やせば成果も増えるはずだと。ところが上司に「どうやってサボるかを考えろ」と言われたんです。
商談を半分に減らしても受注数を維持するにはどうするか。増やすなら自分が頑張ればいいだけですが、減らそうと思うと1件あたりの商談について深く考えるようになる。「営業って考える仕事なんだ」という転換が起き、自分の型が大きく変わりました。
いつも、自分が「できないこと」を選んできた
──経験されてきた3社それぞれでどのような学びを得ましたか。
1社めのキーエンスで学んだのは「型」です。ビジネスパーソンとしての基礎的な礼儀や所作、数字にこだわりながらPDCAを回す営業の型、そして自分のキャパシティの限界を知ること。

2社めのリクルートでは「顧客視点の思考法」を学びました。社内の会話はいつも「売上がいくらになりそうか」ではなく、「お客様の価値をどれぐらい上げられそうか」だったんです。顧客の価値から逆算してアクションを決める。チーム全体の利益のために動くという姿勢も、リクルートで身につきました。
3社めのmentoでは「事業視点」。アーリーなスタートアップで、目の前の売上最大化だけが正義ではないことを学びました。一瞬しゃがんでもいいから良い事例を作ろう、コストを持ち出してでもサクセスさせよう。PL視点で案件や組織を捉える力は、ここで培われました。
──環境が変わるたびに新しい学びを吸収されています。なぜそれだけ柔軟に変われるのでしょうか。
ひとつは、学生時代から選択肢があるときには「自分がまだできないこと」のほうを選びがちなんです。営業を選んだのも、人と喋るのが苦手だったから。できないことができるようになるのが楽しいし、やれることをずっとやるのはつまらない。もうひとつは、自分にできないことをやれる人を素直にリスペクトしていること。どういう生き方をしたらこれができるんだろう、と人に興味が湧くんですよね。
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猪飼 綾(イカイ アヤ)
キクカク及びライティングユニットおたばぶのライターとして、IT・機械技術を中心に、ものづくりから飲食まで幅広い分野で取材・執筆。また、読者に愛されて、積極的かつ継続的な購買につながるファンマーケティングの観点から、オウンドメディアの運用支援やSNS運用など、Webマーケティング、ブランディング支援を行う。
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