NRF APAC 2026から読み解く日本企業への示唆
今回のNRF APACで強く感じたのは、「AIを導入すること」が競争力ではなくなったということである。企業の競争力を決めるのは、AIを中心に据えて経営全体を再設計できるかどうかだ。
そのためには、第一に、店舗・EC・物流・CRMなどに分散したデータを統合し、AIが活用できる基盤を整えることが必要である。第二に、店舗を販売拠点ではなく、データ収集と顧客体験を提供する場として再定義すること。そして第三に、商品販売をゴールとせず、顧客との長期的な関係を育てるLTV経営へ転換することが重要となる。
筆者はこれまで、オムニチャネルを「顧客を中心にあらゆる接点を統合する考え方」と整理してきた。しかし、今回のNRF APACを通じて、その先の姿が見えてきた。これからの競争は、店舗とECをつなぐことではない。顧客、AI、データ、決済、物流、金融、コミュニティまでを1つのエコシステムとして設計し、顧客の生活全体を支えることが企業の価値になる。
「AIは目的ではない。顧客中心経営を実現するためのインフラである」
これが、NRF APAC 2026を通じて私が得た最大の示唆であり、日本の小売業、さらには金融やサービス業を含めたあらゆる産業に共通する未来像である。
なお、展示の多くが店舗運営の効率化やAI連携をテーマにしていたのに対し、講演では「わざわざ来店して対面で話し、現物を見られる店舗の重要性」も繰り返し語られていたこともつけ加えておく。
