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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn(2026.09.08-09)

Makuake後も成功を続けるブランドに聞く、EC展開の心得

コンセプトの見直しで年商20億円規模へ 急成長中の「セルフレジ専用エコバッグORIBA」のEC戦略

初期のサポーターを裏切らない「鉄の価格ルール」

菊地:ブランドの規模が急拡大し、現在は自社ECだけでなく、卸売(オフライン展開)も急速に広がっていますが、ここでも独自の強い方針を持たれているそうですね。

山口:はい。私たちは卸売において「卸値を一定の掛け率以下には絶対に下げない」という鉄のルールを設けています。その掛け率以下でお出しするのは、リターンの設計上「Makuake」のプロジェクト(先行販売)の時だけです。どんなに大手企業のバイヤー様相手であってもそれ以下の条件では卸しませんし、一般販売市場においては一切の値引きやクーポン発行を行わない方針を徹底しています。

菊地:小売店との交渉において価格コントロールを維持するのは勇気がいることだと思いますが、その根底にはどのような想いがあるのでしょうか。

山口:かつて私たちが何者でもなかった初期のフェーズ、ただの素人の集まりだった頃に私たちの商品を信じて投資し、期待して応援購入してくれた「Makuake」のサポーターとの約束だからです。初期のサポーターを1番に大切にしたいという想いは、昔も今も全く変わりません。新商品を出す時は常に「Makuakeが1番早く、1番お得に買える場所である」と言い続けているため、その後の一般販売で安売りすることは絶対にしません。

 もし卸売の条件を一定の掛け率以下に大きく下げてしまうと、卸先の手元に利益のバッファー(余裕)が生まれてしまい、卸先側で勝手にクーポンを配ったり安売りされたりして、ブランド側で価格コントロールができなくなるリスクが発生します。卸値を一貫して固定しておけば、卸先側にも安売りする余白が出ないため、価格の崩壊を防ぐことができます。「Makuake STORE」もそうですが、私たちの商品のコンセプトに心から共感し、「本当に良い商品だから自分たちのお店で売りたい」と思ってくださる店舗や代理店様を厳選してお取引をさせていただいています。

売上構成比の課題。新規9割から「ファン共創コミュニティ」へ

菊地:現在の売上規模において、経営として向き合っている「次なる課題」や将来の長期的なブランドビジョンについて教えてください。

山口:現在の課題は、売上の「構成比」にあります。ありがたいことに、全体のお客様の中で「別の商品も買ってくれた」というリピーターの数自体は増えており、顧客ベースで見ると約30%ほどの方がリピートしてくださるようになりました。しかし、新規獲得のスピードが圧倒的すぎることもあり、毎月の売上金額の構成比で見ると実は「新規95%:リピート5%」というバランスなのです。エコバッグという商材特性上、買い替え周期が長いこともありますが、「常に新規広告を回し続けなければ売上が維持しにくい」という構造そのものが、現在の経営における大きな課題だと認識しています。

 今後は、これだけの規模で獲得できた莫大な新規のお客様を、いかにしてブランドの根強いファンへとつなげていくかという仕組みづくり(CRMの構築や公式LINEの強化)が最大のテーマになります。ブランドのコアコンセプトである「お買い物を楽に、快適に、楽しいものに変える」という軸は今後も一切ぶらしません。

 私たちが心から届けたい、向き合いたいと考えているのは、「50代から70代くらいのシニア層の主婦の方々」です。子育てなどが一段落し、これからは自分のための丁寧な生活や、毎日のスーパーへの買い出しをおしゃべりと共に楽しんでいる、いわば「第二の人生」を歩み始めたシニア女性の方々です。デジタル化が進む中で、「セルフレジが使いにくくて恥ずかしいから、もうあのスーパーに行くのをやめよう」なんて、そんな寂しくて悲しい思いをさせたくありません。今後はエコバッグや保冷バッグという枠に留まらず、彼女たちの日常を豊かにする周辺プロダクトへの展開も進めていきます。

 そして次のステップとして、既存のサポーターを巻き込んで一緒に商品開発を行うような、「共創型のコミュニティマーケティング」にも挑戦したいと考えています。新商品の開発背景や試作プロセスの段階から、SNSを使ってサポーターを巻き込んだ物づくりを徹底していきたいです。

 ターゲットであるシニア層に対しても、公式LINEやインスタライブ、そして最近シニア層の利用も増えているTikTokライブといった「ライブコマース(SNSライブ)」の熱量と、彼女たちが大好きな「オフライン(リアル店舗での接点)」の2つを強力に掛け合わせることで、生活者と深く対話し、ファンと共に新商品を育み続ける関係性をしっかりと作っていきたいと考えています。

菊地:素晴らしいビジョンですね。名もなき小さなブランドであっても、「誰の、どんな課題を解決するのか」という利用シーンに特化した適切なコンセプト設計を行い、「Makuake」での成功実績という強いエビデンスを一般販売の広告・店舗展開へと正しく還流させることができれば、持続可能な事業成長は必ず実現できるという、非常に再現性のある素晴らしい学びをいただきました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

高野 翔一(タカノ ショウイチ)

株式会社マクアケ 企業広報マネージャー

 1984年生まれ。大手食品メーカーの営業やPR会社などを経験。PR会社では大手テーマパークをはじめ、さまざまな領域のPRを担当。2022年に株式会社マクアケへ入社。入社後は、コーポレート・サービス広報として携わりつつ、モノづくりを始めとした事業者の挑戦を後押しする広報を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77135

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