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MarkeZine Day 2026 Autumn(2026.09.08-09)

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

【購入率2.8倍】銀座千疋屋に学ぶ!動画活用と即日出荷で切り拓くギフトEC戦略


12時まで即日配送の物流改革と、ブランドの真価を問われるカスタマー対応

━━高品質なフルーツを全国へ届けるための「物流やバックヤード」の取り組みを教えてください。

 ギフトがメインである以上、配送のスピードと正確性は命です。私たちが達成した大きな改革が、「お昼の12時までのご注文は即日出荷する」という短いリードタイムの確立です。

 上尾のWeb担当オフィスは出荷スペースと隣接しているため、注文が入れば物理的にすぐ隣で伝票を発行し、そのまま出荷ラインに乗せることができる環境が整っています。外部に委託せず自社部隊で即座に対応しているため、常温商品に関してはこのスピード配送を実現できています。

 今やECで「すぐ届く」のは当たり前になっており、迅速な出荷は必須だと考えています。現場の声や実際の業務状況を確認し、関係者と連携して、現場が最も効率的に動ける改善策を構築できました。

 今後は常温商品だけでなく、果物(生鮮フルーツ)の当日出荷にもチャレンジしたいと考えています。築地のWebオフィス近隣に果物の出荷拠点があるため、ここを活用して「新鮮な果物の当日出荷」を実現させたいですね。

━━ギフト中心のECだからこそ、カスタマー対応で意識されていることはありますか。

 どれだけ厳格な選別・検品を行っていても、生の果物である以上、移動中の気温変化などで傷みが発生してしまうリスクはゼロにできません。ギフトECで最も配慮すべきなのは「ご注文者様(贈る側)」と「お届け先様(もらう側)」の双方の感情です。

 お届け先様から依頼主様へ連絡がいき、そこから弊社にご連絡をいただいた場合は、依頼主様へのお詫びはもちろんのこと、お届け先様へも直接ご連絡をお入れし、真摯にお詫びとお取替えの対応をさせていただきます。

 トラブルが起きた時にどこまで誠実に対応できるかがブランドの真価を問われる部分であり、「対応が完璧だったのでやっぱり銀座千疋屋にして良かった」と信頼をいただけるレベルまで徹底しています。

━━さらに、「新しい店舗連携のサービス」も開始されたと伺いました。

 はい、ECサイト上で事前に注文と決済を済ませ、実店舗で商品を受け取れる「Web注文・店頭受取サービス」を導入しました。クリスマス時期などの超最繁忙期に実店舗に殺到していた電話予約のアナログ業務を劇的に軽減できると期待しています。

多モール展開で総体拡大。SNS運用と新技術・海外への展望

━━現在の売上成果の状況と、今後のECビジネスの多店舗展開についてお聞かせください。

 各施策が実を結び、ショップ全体としては右肩上がりで順調に伸びています。戦略の軸は複数のECモールへの徹底的な「横展開」であり、現在「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「Amazon」「LINEギフト」などありとあらゆる主要モールに出店しています。

 モールごとの波があってもリスクを分散させ、全体の売上を確実に押し上げることができるのが最大のメリットです。

 現在、まだ出店していない新規モールや出店先のリサーチも重ねており、すでに準備を進めているものもあります。既存の枠組みにとらわれず、新しいチャネルを開拓しながら売上を拡大させていきたいと考えています。

━━SNSの運用や、今後の新しい取り組みについてお聞かせください。

 SNS運用で最も大切にしているのは「銀座千疋屋としての品格」を損なわないことです。過去にはTikTokなどにもチャレンジしましたが、ブランドイメージと合致する動画が発信できず、撤退する判断をしました。

 Instagramなどでも「中の人」を出しすぎず、あくまで商品が主役となる美しい世界観を保つことを徹底しています。反響が大きかった事例としては、パティシエによる「黄色いスイカ」や「桃」を切る動画があり、大きな再生回数を記録して実際の注文にもつながりました。

 また、AIコンシェルジュなどの最新技術の情報収集も進めており、常に新しい取り組みへ挑戦し続ける姿勢を重視しています。

━━数あるモールの中で、特に今、最も勢いを感じているプラットフォームはどこでしょうか。

 相手の住所を知らなくても手軽にプレゼントを贈ることができる「ソーシャルギフト」の市場が拡大しており、当社も力を入れています。現在は、LINEギフトと楽天市場で導入済みとなっており、自社公式サイトでのソーシャルギフトの導入も進めています。

━━最後に、今後の展望について教えてください。

 個人的なビジョンとしては、ソーシャルギフト市場に向けた「2,000円未満」のスマートでカジュアルなパッケージのラインナップを拡充していきたいと考えています。

 そして、会社としては海外展開も本格的に取り組んでまいります。9月下旬より台湾・新光三越での催事出店を予定しており、これを皮切りに、来年にはシンガポールへの海外初出店も予定しています。現地向けのInstagramアカウントを開設し、日本の果物の魅力を動画で発信していきます。リアル店舗とSNS、オンライン会員をつなぎ、海外のお客様との継続的な接点を広げていきたいと考えています。

 日本の強いブランドを軸に、デジタルの力とリアルな力を融合させることで、グローバル市場へとさらに大きく広げていきたいと思っています。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/09/08 09:56 https://markezine.jp/article/detail/77180

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