マガジンハウスとマイクロソフトの協業で始まった「MSNマガジンサーチ」
「MSNマガジンサーチ」(http://magazine.jp.msn.com)では、過去に発行された雑誌の記事をブラウザ上で閲覧・検索したり、気になるページに付せんをつけることも可能。現在、公開されているのは、マガジンハウスの人気雑誌「Hanako」と「Tarzan」で、6月上旬には「クロワッサン」も追加される。
検索は、見出しやタイトル、キャプションなどすべてが対象となるため、どの号のどこに掲載されていたかを忘れたものでも見つけることができる。雑誌を指定したり、発行時期を指定して絞り込むことも可能。また、雑誌を購入する人のために、マガジンハウスの直販サイトへのリンクも張られている。
「MSNマガジンサーチ」で公開されるのは、権利関係の処理が済んだ2007年10月発売号からで、これ以降は順次刊行された雑誌を追加していく。最新号については、書店での販売を開始してから、1~2か月ほどの期間を設けて権利関係を処理した後に公開する。こうした発売からウェブで公開までのタイムラグについて、マガジンハウスの久我英二氏は「あくまでも書店での販売を尊重する」としており、さらに過去にさかのぼってコンテンツを追加していくことについては「雑誌の性格上、あまり古い(店舗などの)情報を掲載している号を公開しても読者の利益にならない」として、基本的に今後刊行されるものを順次追加していく方針であることを明らかにしている。
雑誌のコンテンツをウェブで公開していくメリットは?
「MSNマガジンサーチ」にコンテンツを提供するメリットとして、久我氏は「読者の裾野を広げることはもちろん、どのページがどのくらいアクセスされるのかをページ単位で見ることができるため、利用者の関心をこれまで以上に詳細に把握することができる点も重要」としている。
また、マイクロソフトのショーン・チュウ氏は、「「MSNマガジンサーチ」は、日本のMSNが海外に先駆けて行う試み。他社のコンテンツも提供していくことは検討しているが、まずはマガジンハウスとサービスの土台を築いてから」と語っている。
サイトに表示される広告の収入は両社で折半することになるが、このサービスで目標とする利用者数や収益を明示することはなかった。両社とも、サービスを有料化したり、コンテンツを一気に増やして広告モデルで収益をあげることは考えていないようだ。では、今回の協業のメリットはどこにあるのか?
現在の「Hanako」の部数は約10万部、「Tarzan」は約20万部。一方のMSNの月間ユニークユーザー数は4000万人、ライフスタイル関連のコンテンツでは月間100万~300万人を集めるという。雑誌を買う人が減り続けるなか、そのコンテンツをデータ化してネットで公開することによって、雑誌がはじめて「ウェブコンテンツ」のひとつに加わり、検索可能な対象となる。収益やプロモーションといったこと以前に、印刷メディアにとってはそのこと自体が重要といえるだろう。
また、ポータルサイトとしても、Yahoo! JAPANをはじめとする大手が、新しいコンテンツやサービスを次々と打ち出して集客へつなげていることを考えれば、リピートしたくなるコンテンツとしての雑誌のアーカイブは魅力的なものとなるだろう。2つの雑誌の公開から始まった「MSNマガジンサーチ」の今後の展開に注目したい。
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