(3)「検討が進まない」迷路
お客様と連絡は取れているが、よくわからない理由で「検討」スピードが遅い。これが3つ目の迷路です。どこで止まっているのかがわからないと再提案などを行うこともできず、宙ぶらりんなまま時間だけが過ぎていきます。
「検討します」という言葉の裏側では、「本当にじっくり検討している」場合と、「やんわり断っている」場合と、「検討したいけれど検討の進め方がわからない」場合があります。お客様の社内で誰がボールを持っているのか、そのボールがなぜ止まっているのか。営業からはそれがまったく見えないのです。
(4)「予算が増えない」迷路
お客様の企業規模からすれば、このぐらいの金額なら余裕を持って買えるはずなのに、「予算がない」と言われてしまう。これが4つ目の迷路です。提案内容には合意してもらっているのに予算の決裁が下りない、というケースなども該当します。
「予算がない」という言葉の裏には、実はさまざまな事情が隠れています。本当に予算枠がない場合もあれば、予算はあるけれど「この案件に使う優先度が高くない」と判断されている場合もあります。あるいは、お客様の社内で予算の使い方について意見が割れていて、承認プロセスが進まないケースもあります。「予算がない」は、お客様の社内事情を要約した「一言」にすぎません。
「迷路を進むための松明」を灯す
法人営業における2つの重要な事実があります。
1つは「営業プロセスと購買プロセスは違う」ということ。もう1つは「裏側に多くの関係者がいるが、営業には見えていない」ということです。これらが原因で、法人営業は「キーパーソンに会えない」「連絡がつながらない」といった「迷路」に迷い込むわけです。
では、このような現実を踏まえて、営業パーソンはどうすればよいのでしょうか。
本書では、暗がりの迷路を進むための「松明」を3つの要素で定義しています。
(1)お客様の購買プロセスのうち、いまどの段階にあるか
お客様の購買プロセスは「課題認識」「情報収集」「要件定義」「ベンダー比較」「発注決定」の5段階に分かれています。いまのお客様がまだ課題認識の段階なのか、すでに情報収集を終えて要件定義に入っているのか、あるいはもうベンダー比較の段階まで来ているのかによって、営業として取るべきアクションはまったく異なります。
課題認識の段階にいるお客様に対して、見積もりを提示するだけでは話が進みません。また、ベンダー比較の段階に入っているお客様に対して、悠長に情報提供を続けていたら、他社に先を越されてしまいます。
(2)いま会えている人物がどんな役割を担っているか
6つの役割の中で、いまあなたが接触している相手がどの立場にいるのかを正確に把握することが重要です。現場の利用者なのか、発注担当者なのか、社内推進者なのか。その人物の役割によって、その人が何を求めているか、何に不安を感じているかが変わってきます。
(3)今後、どうやって進めていけばお客様に当社への発注を決めていただけるのか
これは、(1)と(2)を踏まえた上での「道筋」です。いまの段階で、いまの相手に対して、次にどんなアクションを取れば、購買検討を前に進めることができるのか。その見通しを持つことが重要です。
これらの要素を言語化できると、暗がりの迷路に松明を灯すように、「なぜこの商談が前に進まないのか」「次に何をすべきか」がクリアに見えてきます。

