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MarkeZine Day 2026 Autumn

イベントレポート

カスタマーサクセス・アワード 大賞はNEC!天下一武闘会を勝ち抜いた最強のCSMはfreee青山氏に

機能要因の解約数が激減&受注率2倍のインパクトも 

 青山氏は、n=1の深い顧客理解を事業成果へと変えた2つの例を紹介した。1つ目は、freee販売のプロダクトフィードバックサイクルに関わる例だ。同社では解約した顧客へ全件インタビューを行い、真の「機能要因によるチャーン」を特定した。

 具体的には、解約理由を深掘りする中で、対象顧客である無形案件型ビジネスの事業者の業務フローを解析。要望の中にあった「定期売上管理機能」が欠けていると、他社ツールとの併用になり、導入効果が激減することを見抜いたのだ。

 業務プロセスの差分を明示し「この穴を塞げば解約が止まる」とPMに訴え開発の合意を取りつけた。その結果、翌年の同ターゲット層における機能要因の解約数は9件からわずか1件へと激減。さらに、受注前の機能不足による失注も大幅に低減したという。

 2つ目は、freee販売のエクスパンション戦略における工夫である。freee会計を利用している顧客に話を聞くうち「見積書の送付後にExcelの案件管理表へ手入力で転記するのが面倒」という課題が顕在化する瞬間を特定。CSMが現場で聞いていた顧客の生の言葉「Excelの案件管理表とfreeeが1つにならないか」を、そのままシステム内の案内バナーやLPの訴求文に採用した。

 顧客の心理に寄り添ったこのPLG施策により、バナークリック率は2倍に伸長。当該バナーをクリックした人専用のLPを用意し、そこから資料を請求した顧客に営業がアプローチした結果、freee販売の受注率が約2倍に跳ね上がるという圧倒的な事業成果をもたらした。

CSはバリューチェーンの末端ではない

 青山氏の発表後、コメンテーターを務めたGainsightの絹村悠氏からは「CSは顧客対応の末端ではなく、プロダクト開発やマーケティング、営業までを含めた事業成長全体のコントローラー(司令塔)として機能すべきであるという強い姿勢を感じた」との講評が送られた。

カスタマーサクセス天下一武闘会のコメンテーターを務めたGainsightの絹村悠氏
カスタマーサクセス天下一武闘会のコメンテーターを務めたGainsightの絹村悠氏

 新規顧客の獲得市場(SUM/有効市場)を拡張しつつ、既存顧客の解約による水漏れを防ぐ。この両立を果たす鍵は、単に声の大きい顧客の要望をそのまま聞くことではない。現場の泥臭い一次情報に立ち返り、業務プロセスと顧客の心理を深く捉えた「n=1の理解」を社内に提示することにある。

 今回のイベントを通じて浮き彫りになったのは、大企業の基盤変革(NEC)とスタートアップのプロダクト主導型変革(freee)のいずれにおいても、CSが企業成長の推進エンジンになっているという事実だ。

 顧客に最も近い場所で真の課題を把握しているCSMこそが、全社のプロダクト、マーケティング、営業の仕組みを動かし、事業のスケーラブルな成長を導いていく。CSは今、単なるサポート職種を越えて、企業の未来を左右するマーケターであり、事業責任者へとその存在感を高めている。

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この記事の著者

SalesZine編集部 渡辺佳奈(セールスジン編集部 ワタナベカナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、SalesZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/08/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/77330

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