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僕らのマネジメント論(AD)

「ほしいものをつくれば売れる」1.5万社に選ばれる「GO BUSINESS」、顧客起点組織のつくり方

宮田華江(編集部)[著] / 大森 大祐[写]

 タクシーアプリ「GO」の法人向けサービス「GO BUSINESS」は、契約企業数1万5,000社を突破した。事業を率いるのは、GO株式会社 執行役員の中西佑樹氏。一時期は事業成長が停滞したものの、そこからさらなる成長を遂げている。その強さの源泉は、営業もPdMも開発も顧客のもとへ足を運び、課題を捉えた機能をつくり続ける組織にある。業界ごとに顧客を掘り下げる組織体制、数字だけに頼らない目標設計、そしてリーダーとしての覚悟まで。中西氏の組織づくりに迫る。

中西氏の「マーケティング論」に迫った取材記事はこちら!

訴求を一本化し、顧客起点の組織へ

SalesZine編集部(以下、SLZ):中西さんは執行役員として法人事業の本部長を務めるほか、新卒採用や新規事業の物流事業も担当されています。1万5,000社以上に導入されている「GO BUSINESS」で、法人事業を担うことになり何から手をつけたのでしょうか。

中西:「GO BUSINESS」は、タクシーの請求書払いサービスとして、経費精算に困っていたお客様の課題に正しい解決策をつくれたことで、圧倒的な成長を遂げました。

 私が法人事業を見ることになったのは、さらなるグロースを目指すタイミングです。まず、成長の中でぶれてしまっていた訴求の軸を、当初の「請求書払いサービス」に一本化することに立ち返りました。そのうえで、「変わりゆく顧客課題に合わせて機能をつくり続けること」「オペレーションの標準を引き上げること」の2つに注力しています。

GO株式会社 執行役員 中西 佑樹氏

SLZ:中西さんご自身は、どのようなキャリアを歩んでこられたのですか。

中西:私自身、スタートアップや起業も含め泥臭い道を歩んできました。若いころは「量は質を凌駕する」と、誰よりも働きました。というか、量でカバーするしかできませんでした(笑)。キャリアのスタートも営業です。仕事のベースは、今も営業だと思っています。[

「顧客」起点の組織 大改革を3ヵ月の“吸い上げ”から始めた理由

SLZ:顧客の課題に応え続けるために、大手企業向けの営業では業界ごとにチームを組んでいるそうですね。

中西:顧客を知るためです。事業責任者も営業責任者も、マクロとミクロの両方から顧客を見る必要があります。

 マクロで見ると、法人のタクシー利用市場はおよそ6,000億円規模で、業界と地域で切ると筋がよさそうでした。さらにミクロに深掘りすると、タクシーを使うシーンや管理の仕方も業界ごとにまったく違います。使い方が違う以上は業界カットで攻めたほうがいい。それを組織図に落としました。

SLZ:具体的にはどのような体制なのでしょうか。

中西:大手企業を担うアカウントセールスは、セールスからCSまでを一気通貫で担当しています。「GO BUSINESS」は初期費用・月額固定費が無料で、入口側には手間がかからない。むしろ利用拡大にパワーをかける必要があるので、営業とCSは分けないと判断しました。メンバーごとに担当業界を持ち、ドメインエキスパートとして知見を積み上げてもらっています。

 以前は分業体制でしたが、課題が違えば求められるスキルもマネジメントも変わります。そのためSMBと大手でまず営業を分け、大手はさらに業界で分けました。

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「GO BUSINESS」組織のイメージ図【クリックすると拡大します】

SLZ:大きな改革ですが、現場の反応はいかがでしたか。

中西:外部から参画した私が急激な変革を推し進めれば、当然組織内にハレーションが生じます。そこで3ヵ月ほどかけて、メンバーがどう顧客に向き合い、未来をどう考えているかを丁寧に吸い上げ、私の仮説と擦り合わせました。新しい組織図に自分たちの思考が反映されていると感じてもらえたことで、大きな反発なく移行できたと思います。

「ほしいものをつくれば売れる」PdM・開発も顧客のもとへ

SLZ:業界ごとの深掘りは、どのような成果につながっていますか。

中西:たとえば、空運業界を担当している2026年入社の新卒メンバーは、顧客を理解するために、自ら羽田空港に足を運び、現地で湧いた膨大な疑問を1つずつ調べていました。そこで見えた業界特有のニーズや課題を解決すべく、PdMや開発も巻き込んで日々動いています。先日の共有会では、「空運業界のオタクになりつつある」と発表してくれました。

 こうして顧客を深く知ったうえでつくるから、顧客に「必要だ」と言われてつくった機能が使われないことがない。これがすべてを物語っていると思います。

 社内では「ほしいものをつくれば売れる」と毎週言い続けています。ほしいものは課題から生まれる。課題を捉えて解決するものさえつくれば、事業は伸びる。私が入ってから掲げているテーマは「狂気的顧客志向」で、今年は「狂気的顧客貢献」。毎週火曜17時の共有会は、法人のメンバー全員が集まり、このテーマに沿った事例を共有する場です。

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SLZ:営業が聞いてきた要望を、開発側はどう受け止めているのでしょう。

中西:PdMも開発も、事業に貢献したい、顧客の課題を直接知りたいと思っているんです。そういうことができるチームにしようと言ったら、喜んで顧客のもとに一緒に行ってくれました。現場に行くと、さらに顧客が求めるものをつくりたいと感じる。開発側から「顧客視点で考えて、その解決策で本当にいいんだっけ?」と問いが飛んできたり、必要だけど開発工数の大きい要望を、より小さなやり方で解決する提案が出てきたりします。

 開発は本部が違いますが、先ほどの共有会にも参加してくれています。エンジニアは「結局あの機能、使われたんだっけ?」と気にしているもの。事業の状況を共有することで、事業企画・PdM・エンジニアが三位一体で動けている。この点は、私のこれまでの経験のなかで、今が一番うまくいっている感覚があります。

数字の達成だけでは「武器」は増えない

SLZ:一方で、体制を整えても、「顧客視点」という当たり前が根づくとは限りません。どう徹底しているのですか。

中西:まだ課題はありますが、何を目指しているのかをメンバーまで浸透させることが大事です。限りなく不変なミッション、そのマイルストーンとしてのビジョン、実現のための事業目標、その上り方である事業戦略、実行のための組織図と役割。

 中でも特に「最上段」を決めることが大事です。「GO BUSINESS」であれば、「移動を武器に、企業の未来を切り拓く」というミッションを定めて、とにかくこれにすべてを紐づけることを徹底しました。この階段が描けていないと、現場は「どこを目指せばいいかわからない」となります。情報の非対称性をなくすことが、組織が自走できるかの分岐点です。

 そのうえで、冒頭でお話しした2つの注力点は、そのまま目標設計にも置いています。「解決策を製品化できているか」と「圧倒的なオペレーションを回せているか」。この両方を高いレベルで回すことが重要です。特に前者は忘れられがちで、営業のオペレーション改善だけを続け、ずれたまま失速するケースをスタートアップで何度も見てきました。だからこそ、顧客の課題を発見できているか、製品化できているか、それが売れているかという定性的な目標を、マネージャーレイヤーで見ています。

SLZ:定量目標だけでは足りない、と。

中西:「どういう状態であるべきか」という、目指すべき状態の定義がない組織は多いです。商談数などの定量目標はもちろん大事です。そのうえで、定性目標を定義すると確かな指針になります。たとえば広告チャネルが1つだけ好調なら、「3ヵ月後に同等のチャネルをあと2つつくる」と置く。すると試行がすぐ始まり、3ヵ月後には3つのチャネルを持って戦えます。ロールプレイングゲームと同じで、同じ数字を達成していても、新しい武器を獲得しながら達成したかどうかで、次のステージでの成果がまったく変わるんです。

「原因は自分にある」リーダーに必須の覚悟

SLZ:こうした組織を率いるリーダーには、どんな覚悟が必要でしょうか。

中西:基本的にはすべて事業リーダーである自分の責任と考えることです。そのうえで大事なのが「メタ認知」です。リーダーは権力勾配の上にいるので、なかなかフィードバックをもらえません。常に、自分は今どういう状態にあるか、望ましい状態からずれてしまっていないか、問い続けることが求められます。

 また、リーダーのひと言や仕草は、組織に浸透します。私がイライラしていれば、メンバーもそう振る舞う。以前、360度フィードバックの際に「中西さんが『いける』と言うと、いけると思ってしまう」というコメントをもらったのですが、これは本当にうれしかったですね。どんなに厳しい局面でも、リーダーは最後まで部下に「大丈夫、全部うまくいく」という姿を見せ続けるべきだと思います。

SLZ:とはいえ、営業責任者は、どうしても目の前の数字に追われがちですよね。

中西:その気持ちは痛いほどわかります。しかし、「誰に何を」という前提が正しくないままメンバーに頑張らせても、3年後も同じことを言うはめになるはずです。商談数や案件管理をどれだけ頑張っても伸びないなら、それはアラート。現象は下から上がってきますが、原因はもう1つ、2つ上の構造そのものにあることが多いんです。

SLZ:原因が現場で解決できないもの、たとえば市場、プロダクト、経営方針などにあるとわかったら、どう動くべきでしょう。

中西:目先の数字を犠牲にしてでも、構造的課題を解決する。「この3ヵ月は落ちてもいい。ここを変えれば来期は上がる」と決めて、やり切る。

 マネージャー層には「決定」と「決断」の違いをよく伝えています。論理的に選ぶのが「決定」で、これに痛手は伴いません。正解がわからないものを決め、結果を出すのが決断です。決断の回数が多いほど、リーダーの器は大きくなる。自分自身、たくさんの失敗の中で事業の構造的課題が見えてきました。もし正解がわからなくても、正解に近づく決断を諦めないことが大事。私はそう信じています。

若手に決断の打席を 各世代の優秀な人が集う組織へ

SLZ:若手の育成では、どのようなことを大切にされていますか。

中西:「決断の打席」の機会をどれだけ手渡せるかです。ただし、誰にでもではなく、任せた仕事で成果を出すメンバーに渡していきます。実際、2023年入社の新卒メンバーが、入社4年目・26歳でグループ会社の取締役を務めています。毎月の業績報告の場でも堂々としていて、顔つきが違う。経営では、先のわからない決断を日々行う必要があります。成果を出せる人は、不確実性の高い場所に飛び込んでも、しっかりと伸びていくのだと実感しました。

 若手に大切なのは、御用聞きにならないこと。決裁権がなくても「自分ならこうする」と決めて持ってこられるか。私自身も毎週、経営陣に「経営者ならこの課題をこう解決する」と決めて提案しています。いわば「バーチャル決断」です。これができるかで成長角度はまったく変わります。採用でも、過去に自分で決めてきた回数とメタ認知の高さを見ています。

SLZ:今後、どんな組織を目指していますか。

中西:私たちが狙う移動のドメインは大きく、社会に大きなインパクトを与えられる領域です。ここが進化しなければ10年後の日本が困る、くらいの気持ちでやっています。だからこそ各世代の優秀な人が集まり、それを束ねられる多様性のある組織をつくりたい。

 平均年齢が高い組織は構造的に意思決定が保守的に寄り、若い世代だけだとイノベーティブに寄る。公共性のある領域だからこそ、バランスよく意思決定できる構造が必要です。

SLZ:最後に、SalesZine読者へのメッセージをお願いします。

中西:「俯瞰してみましょう」です。課題と解決策がはまれば、オペレーションをそこまで頑張らなくても売れる。やったほうが絶対に楽になります。私はその差を経験してきました。

 そして、私たちが成長すれば日本の社会がよくなる。そう信じられる方、世代を問わず自分で決めて持ってこられる方と、一緒に挑戦したいですね。

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この記事の著者

宮田華江(編集部)(ミヤタハナエ)

立教大学社会学部メディア社会学科卒業。2016年翔泳社に入社、MarkeZine・ECzineなどの広告営業を担当。2019年1月に営業組織をテクノロジーで支援するウェブマガジン「SalesZine」を立ち上げる。2020年4月、SalesZine編集長就任。ビジネスメディアの統合を担い、2026年...

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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