店舗主軸のビジネスから、ECシフト・チャネル拡大の動きが見られるアパレル業界。しかし、誤った認識を持ったまま進めてもうまくいくことはありません。本連載では、ECディレクターの深地雅也さんがアパレルのEC化を進める上で注意すべきポイントをご紹介。しくじらないための心得を学びましょう。第4回のテーマは、「ツール導入の目的」についてです。 ※本記事は、2023年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.24』に掲載したものです。
流入施策とセットで考えたいOMO・オンライン接客
アパレルECの支援などを生業にしておりますと、ご相談の中に「OMO」や「オンライン接客」といった流行りの言葉がよく出てきます。中には「これらを実行すれば売上が上がる」と考えている方もおり、ツールやサービス導入の話に偏重しがちです。しかし、外枠だけなんとかしたところで売上はついてこないのが実情でしょう。店舗のサービスをECに落とし込みたい気持ちはよくわかりますが、これらを実行する際に重要な点はいったい何なのか、考えてみたいと思います。
OMOやオンライン接客の定番施策と言えば、チャットやライブ配信などが挙げられますが、これらはすでに大手ブランドのEC・SNSで手掛けていないところはないのでは、と言えるほど広く浸透しています。近年は手頃な価格のツールやサービスも増えており、中小規模のブランドでも導入されているケースは珍しくありません。ハードルが著しく下がったようにも見えますが、自社の課題解決に本当に役立っているのでしょうか。
私はこうしたサービスを導入する前に、自社の課題と照らし合わせていただきたいと考えています。なぜなら、普段業務を通してブランドの方々から耳にする課題の多くが「売上」と「集客」に起因するものだからです。
誤解を恐れず言えば、ブランドの売上対策としてインパクトが大きいのは「MD」と「販促」です。これらが担保されていない場合、どれだけオンライン接客を頑張っても大きな売上にはつながりません。これは日々ECに訪れる顧客の流入経路を確認し、弱いチャネルを認識している方であれば、よくおわかりかと思います。SNSからの流入が少ない場合は投稿内容やSNS広告の整備が、検索流入が少ない場合は認知度向上が必要となりますし、その場合は雑誌掲載やポップアップショップ展開などをするのが先決でしょう。その上で流入が増えても売れないのであれば、商品の情報不足改善のためにオンライン接客に取り組むべきと言えます。まずは、流入施策がきちんと実行されているか確認するところから始めることをお勧めします。
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深地雅也(フカジ マサヤ)
StylePicks代表。アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運用ディレクション、オウンドメディア構築、販促企画などがメイン事業。ラグジュアリーブランドのリテール・ホールセール営業を経て独立。フリーランスとしてアパレルECの運用代行からスタートし、現在まで60ブランド程度の運用に携わる。ODM・OEMメーカーの...
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