動画やライブコマースは、いまや特別な施策ではありません。一方でマーケターの現場からは、「配信は始めたが、継続できない」「盛り上がる回と、まったく反応のない回の差が激しい」「成果が属人化し、組織に残らない」といった声が聞こえてきます。連載第4回となる今回は、芸人から実演販売士へ転身し、テレビ通販・店頭・ライブ配信のすべてを経験してきたキングダム中野氏を迎えます。聞き手は、Firework Japanで企業のライブコマース設計や、運用支援をしてきた石島慎也。本記事では、中野氏の「現場知」を、Firework視点で“マーケティング施策として再現可能なノウハウ”として紹介します。
すべての失敗は「双方向性を設計しなかった瞬間」から始まった
石島 中野さんは、中国でライブコマースが話題になる以前から配信に取り組まれていましたよね。
中野:はい。10年ほど前、事務所で自社ツールを作って週1回配信していました。ただ、正直言うとまったく割に合わなかった。今思えば、失敗の原因はシンプルです。ライブを“放送”にしてしまったこと。
石島 この手の失敗は正直よく目にします。「ライブ=動画広告の延長」になってしまうケースですね。
中野 そうなんです。実演販売は、相手の反応を見て話を変える仕事。双方向性がなくなった瞬間、価値は一気に落ちます。お客様の反応が見えないと、言葉を調整できないので、コロナ禍で遠隔接客をしたときも、まったく売れませんでした。
石島 Fireworkでは、コメント・リアクション・視聴行動といったデータを活用して、配信内容をブラッシュアップしていくのですが、そもそも双方向を前提に設計していないと、データも活かせないんですよね。
中野 その通りです。「動画を流せば売れる」という考え方は、もう危険だと思っています。
売れるかどうかは、配信前にほぼ決まっている
石島 中野さんの現場で毎回驚くのが、「徹底した準備」です。
中野 60分の配信なら、最低1週間は準備します。商品を使い、説明書を読み、ネガティブレビューまで全部見ます。そのため、ライブ中の「それ、使いにくくないですか?」というコメントは、むしろ歓迎です。
こうした質問に答えられるかどうかで、視聴者は「この人を信じていいか」を判断します。だから私は、本気で愛せない商品は売らないようにしています。
石島 私も「ネガティブをどう扱うか」でライブコマースの成果が大きく分かれると思っています。ネガティブコメントを「消す」「無視する」のではなく、“納得性をコンテンツに昇華できるか”が重要なんですよね。
中野 そう。ライブは説得じゃなく、納得を作る場なんです。
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大里 紀雄(オオサト ノリオ)
Micoworks株式会社 ビジネスマーケティング部 Director
大手Web制作会社にてチーフデータアナリストとして、DMPの構築および活用支援、広告運用の業務に従事。マルケトではシニアビジネスコンサルタントとして業種業界を問わず、大手企業から中小企業まで、MAツールの導入や戦略構築支援を行う...
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