CPAの設計と並ぶくらい、ECビジネスにおいて重要な要素とは?
ECグロース支援を行うPALA株式会社の兒嶋仁視です。ECビジネスのスタンダードを整理し直して、WHY・WHAT・WHOの議論をしていく連載の第7回です。前回・前々回の2回では、広告投資を判断するうえで必要な「限界CPA」の考え方について整理してきました。
CPAは、単に安ければよいというものではありません。粗利率、注文連動コスト、LTV、回収期間まで含めて見なければ、その広告投資が事業として成立しているのかは判断できません。過去2回では、それらの指標を踏まえどこに限界CPAを置くべきか解説しています。ぜひそちらの記事もご覧ください。
そして今回は、新規獲得を考える上で限界CPAと並ぶくらい重要な論点である「何をECのF1商品(初回商品)として売るのか」という問題について考えます。
事業をグロースしていくためには、 CPAが低くかつLTVが上がりやすい(=F2へ自然に進みやすい)体験を入口で提供することが欠かせません。そのため、最初の商品・体験設計はとても重要です。
F1商品は単に「最初に買われやすい商品」だけではなく、「ブランド体験を体現した商品」であるべきだと考えています。
今回から前後編の2回に分け、ブランド成長を左右するF1商品の設計方法について解説していきます。
F1商品とは「ブランド体験の入口」である
F1商品というと、単に「初回購入される商品」と捉えられがちです。もちろん、定義としてはそのとおりです。しかし、もう少し広く捉える必要があります。
顧客にとってのF1商品は、そのブランドの商品・サービスを初めて体験する入口です。広告で見た印象からLPや商品ページで受け取った情報、実際に届いた商品の印象、梱包や同梱物、購入後に届くメールやLINEまで含めて、顧客は「このブランドはこういうものなのだ」と認識します。
つまりF1商品は、ブランドとの関係性が始まる最初の体験です。ここをどう設計するかによって、初回購入で終わるのか、F2以降につながるのかが変わります。
F1商品次第で、CPA・F2転換率・LTVは変わる
EC事業では、CPAやROASといった広告指標を正確に捉えやすいため、どうしても広告運用側の改善に目が向きます。もちろん、広告運用の改善は重要です。ただし、CPAは広告運用だけで決まるものではありません。
商品のスペックや価格、コピーライティング、訴求内容、ページの説得力、購入者のレビューなど商品に関わる様々な要素によって変わります。これらの要素の多くは商品自体に魅力がないと訴求できないものです。F1商品が魅力的でなければ、すべての要素がイマイチな内容となり、結果CPAが悪いという状況が生まれます。
また、F1商品はF2転換率にも影響します。初回購入後に「これは良い」と感じてもらえれば、2回目の購入につながりやすくなります。逆に、「よくわからなかった」「思ったほどではなかった」と感じられた場合、どれだけCRMで後追いしてもリピートにはつながりにくくなります。
そして、F2転換率が改善すればLTVも向上し、LTVが変われば許容できる限界CPAもより高くなります。
つまり、F1商品はEC事業全体の投資判断にも関わる重要なテーマなのです。
