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MarkeZine Day 2026 Autumn(2026.09.08-09)

ECビジネス・スタンダードの再定義

EC集客の成果を最大化する「チャネル構造・時間軸」の整理法

 ECの現場では、成果への焦りから「目的や時間軸」と噛み合わない集客施策を選んでしまうケースが後を絶ちません。ECビジネスのスタンダードを見つめなおす本連載の第10回からは「集客編」がスタートします。本稿でお伝えするのは、細かな広告運用のテクニックではなく、自社ECの責任者が押さえるべき「集客チャネルの構造と時間軸」です。Googleアナリティクス4(GA4)のデータを共通の物差しに、各チャネルの特性を「短期の売上確保」と「中長期の資産化」に整理し直すことで、自社が今本当に打つべき施策の優先順位が見えてきます。

集客をひとまとめで考えると、判断を誤る

 ECの集客において、よく次のような議論が起こります。

「今月、売上が足りない」

「何か集客施策を打ちたい」

「広告を強化しよう」

「SNSをもっと頑張ろう」

「SEOを意識した記事を増やそう」

 広告にSNS、SEO。どれもECの売上を高めるためには重要な集客施策であり、間違った内容ではありません。ただし、ここには大きな落とし穴があります。それは、集客施策として、ひとまとめにして考えてしまうことです。

 同じ「集客施策」と呼ばれるものでも、チャネルごとに役割は大きく異なります。短期的にセッションを増やしやすいチャネル、成果が出るまでに時間がかかるチャネル、CVRが高くなりやすいチャネル、認知拡大には向いているものの、すぐに購入にはつながりにくいチャネルなど、それぞれのチャネルごとに特性が異なります。

 この違いを理解しないまま施策を選ぶと、「思っていた成果が得られない」「期待しているタイミングで成果が出ない」ということが起こります。

時間軸がズレるだけで、大きな損失に

 では、役割や時間軸を見誤ると、どうなってしまうのでしょうか。ここで2つ時間軸を誤ってしまった例を紹介します。

  • 「今月の売上」が足りないから「SEO目的の記事」を増やす:中長期の集客資産を作るという意味では正しい施策です。しかし、今月の売上を補う打ち手としては、時間軸が合っていません。
  • 「将来の広告依存」を下げたいのに「広告」だけ強化し続ける:目の前の数字は作れても、集客構造の抜本的改善にはつながりません。中長期で育てるチャネルも並行して強化していく必要があります。

 集客戦略で重要なのは「施策の内容」ではありません。今の課題に対して、どのチャネルが適しているか。そして、そのチャネルはどの時間軸で成果を見るべきか。ここを整理することが出発点になります。

最適なチャネルを見極めるために、最初にすることは?

 最適な集客チャネルを選ぶためには、まず集客チャネルを整理する必要があります。そして、その際に大切なのが集客チャネルを適切な粒度に仕分けることです。最初から広告媒体別、キャンペーン別、クリエイティブ別、キーワード別まで細かく分解しようとすると、全体像が見えにくくなります。一方で、「広告」「SNS」「CRM」といった大きすぎる括りでは、意思決定には粗すぎます。

 私が集客チャネルを適切に仕分けるのにおすすめしたいのは「GA4のデフォルトチャネル」です。これをベースにすると、EC運用の意思決定がしやすくなります。

たとえば、以下のような分類です。

  • Direct
  • Organic Search
  • Paid Search
  • Display
  • Paid Social
  • Email
  • LINE
  • Affiliates
  • Organic Social
  • Referral
  • QR
  • Other Channel

 もちろん、LINEやQRなど、GA4のデフォルトチャネルにそのまま出てこないものは、別途設定が必要になる場合があります。UTMパラメーターやチャネルグループの設定を整えないと、実態とは違う分類で集計されてしまうこともあります。

 ただ、最初に大事なのは、完璧な分類を作ることではありません。集客を「なんとなく全体」で見るのではなく、チャネルごとの役割に分けて考えることです。

集客チャネルを仕分けた後は時間軸を見極める

 集客チャネルを仕分けた後は、各チャネルの「時間軸」を整理しましょう。集客チャネルの時間軸は大きく分けると、短期的に数字を動かしやすいものと、中長期で積み上げていくものがあります。

 たとえば、次のような施策を見たとき、皆さんは短期・中長期どちらに効果的な施策だと思いますか。

  • SEO目的の記事を増やす
  • オーガニックSNSの投稿頻度を上げる
  • アフィリエイト掲載先を開拓する
  • 外部メディアで紹介してもらう

 どれも集客施策としては非常に重要です。ただし、今月の売上をすぐに押し上げる施策として適切ではありません。

 SEO目的の記事は、公開後すぐに検索順位が上がるわけではありません。オーガニックSNSも、投稿を増やしたからといってすぐに大きなセッション増加につながるとは限りません。アフィリエイトや外部メディア掲載も、媒体開拓や掲載までに時間がかかります。

 つまり、これらは中長期で育てるべきチャネルです。

 一方で、短期的に数字を動かしやすいチャネルもあります。

  • Paid Search
  • Display
  • Paid Social
  • Email
  • LINE

 これらは、予算投下、配信設計、クリエイティブ、オファー、配信タイミングによって、比較的短期でセッション数や売上を動かせる可能性があります。

 特にEmailやLINEは、既にリストがある場合、配信すれば一定の流入を作ることができます。広告も、獲得効率の範囲内で予算を増やすことで、短期的に流入を増やすことができます。

 集客戦略とは、やりたい施策を選ぶことではありません。目標の期限に合わせて、使うチャネルを選ぶことです。

次のページ
EC担当なら押さえておきたい、各チャネルの特性を解説

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この記事の著者

兒嶋 仁視(コジマ ヒトミ)

PALA株式会社 代表取締役

 大手日用品メーカーにて、健康食品・化粧品のEC事業を統括。その後、クラフトチョコレートブランドにてEC責任者を務め、2025年7月にPALA株式会社を設立。

 現在は、D2Cブランド、大手日用品、アパレルブランドなど、複数の企業のECやブランド立ち上げを支援中。事業戦...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/08/17 08:30 https://markezine.jp/article/detail/77261

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