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モバイル動画広告プラットフォーム「FIVE」の菅野氏に聞く、若者の情報消費の感性と変わるべき広告の形


広告フォーマットやクリエイティブも、変化を避けられない

菅野:そういう世界です。それってインターネットビジネスの登場で多くの人が興奮した要素だと思います。そのような力学が働いているとして、コミュニケーションもその力学から逃れられないのではないかと思っています。さっきのような状況が起きているなかで、じゃあ広告コミュニケーションだけがフォーマットを変えずにいられるかというと、そうではない。人と人のコミュニケーションも、昔は手紙を書いていたけれど、Eメールができるようになり、今はLINEのスタンプひとつで感情のやり取りをしている。

有園:僕はスタンプ、よく分かんないんですが(笑)。

菅野:使ってください(笑)。そういった意味では、良くも悪くもコミュニケーションの時間単位が実際に小さくなってきています。映像で考えると1時間のテレビ番組、30分のテレビ番組があったけれど、YouTubeが出てきて数分のビデオクリップになり、モバイル・インターネットではVine(バイン)だったり、Instagram(インスタグラム)だったり、MixChannel(ミックスチャンネル)だったり、数秒の動画が出てきている。

 そのような大きな流れがあります。いまのユーザーは、そうした数秒の動画を当たり前のように楽しんでいて、かつ、自分たちでも作るわけです。こうして映像コンテンツを生成して共有するというプロセスを、すでにユーザーが企業よりも先んじて行っているという現実があります。

有園:女子高生とかがね。

菅野:やはり、どんどん若い世代が変えていくものなんだなって思います。そういった環境の中で、企業が映像でのコミュニケーションをする時、僕らみたいなモバイル動画広告テクノロジーを提供する人たちは環境にあわせたフォーマットやクリエイティブの考え方を提供しなければならないと思っています。どんどんロングテール化して、時間も細切れになっていきます。実際に若い人たちの行動をみると、そうなっている。広告コミュニケーションも、その力学からは、きっと逃れられないのではないかという感覚はあります。

「ユーザーにコントロールを渡す」FIVEが掲げるコンセプト

有園:そういう感覚をお持ちだから、FIVEという会社を立ち上げたんだろうと思っています。スマートフォンにおいて、アドネットワークでは短い時間の動画を流して、プレミアム動画広告ではメディアに技術をカスタマイズ提供することについて、ユーザーエクスペリエンス、あとはビューアブルな時だけ買い付けるといった、菅野さんが思い描いていたことは、FIVEでは実現できていますか?

菅野:そうですね。僕らがFIVEの製品コンセプトとして大事にしようと定めていることが、一言で言うと「ユーザーにコントロールを渡す」ということです。

有園:それは「これかったるいな」とか「ちょっとイライラするな」って思った瞬間に、すぐ止められるとか、すぐ次に行けるとか、そのような意味でのコントロールを渡すということですか?

菅野:はい、そうです。やはり見たくないものをずっと見せられるとキツイし、それはコミュニケーションとしても持続的ではないと思うんです。スマートフォンのひとつの大きな特徴って、ユーザーが指先で物理的に情報コンテンツを操作していることなので、同じように動画広告も操作されるべきであるというのが大きな考え方です。コントロールを渡すべきであると。ユーザーが見たかったら見るし、必要なかったら見ないということが、最終的には必要になると思います。また、ユーザーのフィードバックデータを蓄積すると、その人にとって価値のあるビデオコンテンツを学習して流通を最適化できると考えています。

有園:「できる限り主導権をユーザーにもたせたい」という感じですかね。

菅野:そうですね。その中のひとつの要素として尺の問題もあります。スーパーショートと呼んでいる短尺のコミュニケーションも、先ほど申し上げたような環境の中でユーザーが扱いやすい秒数です。

有園:スーパーショートって何ですか?

菅野:スーパーショートムービーのことです。これは 5秒間で完結したコミュニケーションを提供しようという試みです。もう一つが、ユーザーネイティブです。スマートフォンであれば指先で情報コンテンツをスワイプしたり、フリックしたり、スクロールしたりしていて、そうした普段の動作に中に、なるべく動画広告も同じように扱われるようなエクスペリエンスを提供したいという思いがあります。

 今、ネイティブというと、いろいろな意味がついてくると思いますが、私たちの視点としてはメディアネイティブな議論が多いのかなと思っています。メディアのデザインやしつらえに合わせていくよりも、ユーザーの操作感や指先にネイティブであるかというUXの視点も大事なのではないかと思っています。あとは、ビジブルなパフォーマンスも大事にしたいと思っています。これまで、動画広告は、配信しておしまい、「それで、結局何だったんだっけ」ということが起きがちだったと思うんですよね。

有園:ビジブルなパフォーマンスというのは、効果測定していく?

菅野:はい、効果測定を含めてマーケターにもコントロールを渡す必要があると思っています。具体的には、いまプレミアム動画広告の取り組みでは、接触・非接触での広告認知や態度変容をカジュアルに実施するサーベイ機能も提供しています。「SUPER-SHORT」「USER-NATIVE」「VISIBL-PERFORMANCE」をプロダクトコンセプトとしてどんどんブラッシュアップしています。

有園:ビューアブルの部分だけ買い付けるというのは、すでにアドネットワークで実現しているのですか?

菅野:私たちのSDKでは、非ビューアブルなタイミングでそもそも動画が出現しない仕様になっていて、基本的にはインビュー状態でしか再生されない形になっています。どのフォーマットも。

有園:なるほど。今はアプリだけですか?

菅野:はい、今はアプリにフォーカスしています。

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動画広告にA/Bテストの概念を

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/03/11 20:19 https://markezine.jp/article/detail/22780

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