多くの企業のなかで、永遠の課題と言っても過言ではない「在庫」の問題。これまでは売上を拡大するため、商品を欠品させないことに重点を置き、在庫を増やし続けていた企業も、SDGsやサスティナブルな取り組みへの注目が集まるなかで、今まで通りのやりかたで良いのか考える機会も増えているのではないでしょうか。この連載では、フルカイテンの瀬川さんが在庫管理の新概念「在庫実行管理(IEM)」をご紹介。第1回は、「IEMの考えかたの基本」をお伝えします。
皆さん、ご無沙汰しております。フルカイテン 代表の瀬川直寛です。およそ1年ぶりにECzineで連載を持たせていただくことになりました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で先行きが見通せないなか、EC事業者さんたちのお役に立つ情報をお届けしますので、どうぞよろしくお願いします。
フルカイテンは、小売業などの在庫ビジネスにおいて、売上増加と在庫削減の両立は困難であるという「在庫問題」を解決するシステム「FULL KAITEN」をクラウドサービスとして開発・提供しています。大手アパレル企業やメーカー、楽天市場のショップオブザイヤー受賞店舗など、EC・実店舗や規模の大小を問わず、多くの事業者さんにご利用いただいています。
これまで在庫問題は長年にわたり解決されてきませんでした。それは、売上増加に向けたアプローチ(手法)が間違っていたためです。これに対し、FULL KAITENはまったく異なるアプローチによって売上増加を図るため、在庫問題を解決することができます。

当連載の第1回では、
- 従来の売上増加に向けた手法の根本的な間違いと思い込み
- 在庫問題を解決する在庫実行管理(IEM)という新理論
- 手持ち在庫のポテンシャルを活用すれば売上は増える
という構成で、アフターコロナを生き抜くためのヒントをご紹介します。
在庫が増えるのは“思い込み”が原因だった
在庫を増やせば売上は増えるが、売れ残る在庫も増えてしまう。しかし、在庫を減らすと売上も減ってしまう。売上の減少を避けたいので、余分に在庫を積むことが常態化する――。
このように在庫問題とは、在庫ビジネスにおいて売上増加と在庫削減の両立が困難であることを指します。かつてのモノ不足の時代には、大量消費のニーズがあり、売れ残りは気にする必要はありませんでした。
ところが、モノ余りの現在、在庫を抱えても思うように売上は増えなくなりました。それでも売上を増やしたいので在庫を増やした結果、売れ残り在庫が増えてしまうという負の連鎖に陥っているわけです。
そこでここ数年よく言われているのが、「AIを使って精緻な需要予測をすれば在庫問題は解決するのではないか」という話です。
AIを使っても需要予測は当たらない
ところが、需要予測やトレンド予測というのは、AIを用いてもほぼ不可能なのです。もちろん、人間の経験や勘に基づく予測よりは、AIによる予測のほうが精度は上がるはずですが、在庫ビジネスの実用に耐えられるレベルではありません。
なぜでしょうか。それは、実社会では条件がほんの少し変わるだけで、結果が大きく変わるからです(いわゆるカオス理論)。予測に影響を与える条件について、考えてみてください。
- 競合店が値下げをする
- 競合店が欠品を起こす
- 天候
- 販売員の気分
などなど。条件は常に不安定で、AIが予測し得ない事象に左右されます。言いかたを換えると、AIにこうした条件に則って予測をさせるだけのデータセットは存在しないのです。

当たらない予測に基づいて在庫量や商品数を決めれば、結果は目に見えています。では、在庫問題を解決するにはどうすればいいのでしょうか。ヒントは意外なところにありました。
在庫ビジネスにおいては、次のような「常識」や「定説」があります。
- 欠品が起きると売上が増えない
- 売上を増やすにはヒット商品が必要で、ヒット商品をつくるために取り扱う商品数(SKU)を増やさなければならない
これらに真面目に対応すると、どうしても在庫は増えてしまうわけですが、実はこのふたつは単なる思い込みに過ぎないのです。
つまり、
- 欠品が起きても売上は増やすことができる
- ヒット商品に頼らずとも売上は増やすことができる
という手法があるのです。それが在庫実行管理(IEM = Inventory Execution Management)です。
メールマガジンに登録無料すると、続きをお読みいただけます
-
- Page 2
-
- Page 3
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
ハモンズ株式会社 代表取締役 瀬川直寛(セガワナオヒロ)
自社ECで3度も経験した倒産危機をきっかけにECが儲かるための改善手法を考案。 自社ECの粗利を2倍、在庫を1/2に削減した手法をクラウドサービス化し、2017年10月からサービス提供開始。 現在、サイト改善や広告に頼らずに儲かるECになるための手法を熱心に啓蒙している。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
