10年ぶりの新商品!組織の停滞を打破したボトムアップの挑戦
━━まず、岡田さんの社内での役割と、今回のプロジェクトが立ち上がった背景について教えてください。
岡田:私はマーケティング部で新規ブランドの開発を担当しています。実は、弊社にとって実質的な新商品の立ち上げは10年ぶり(※既存商品のパッケージリニューアルやシリーズ展開を除く)のことでした。
弊社は2026年で創立50周年を迎えたのですが、過去には事業の立て直しに注力した時期がありました。当時は収益改善のために主力商品へリソースを集中させ、おかげさまで2025年は過去最高益を達成することができたんです。
━━業績回復を果たされた一方で、新たな課題も生まれたのですね。
岡田:ええ。既存商品に集中した反面、新しいものへチャレンジする動きが起こりにくくなり、組織内が少し膠着してしまっていたのです。気づけばお客様の年齢層も高くなっており、「このままでは未来の成長はない」という危機感から、約3年前にプロジェクトが始動しました。
社内では「未知の領域に挑む」「自分たちで道を切り拓く」という意味を込めて「みちプロ(道を拓くプロジェクト)」と呼んでいます。これはトップダウンではなく、開発とマーケティングの現場が自発的に組んだボトムアップの取り組みでした。
━━今回の「搾るヨーグルト」という斬新なアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか。
岡田:スタートは、私の個人的な家庭での実体験でした。我が家の次男が、小岩井乳業自慢の「小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」をどうしても食べてくれなくてすごく悔しくて(笑)。
ある日、ケーキ用の絞り袋に水切りしたヨーグルトに入れて渡してみたんです。そうしたら、自分で楽しそうに絞り出しながら自慢げに食べ始めたんですよね。大人視点のおいしさだけでなく、「楽しい」「体験ができる」という価値が入ることで、家庭の中に新しいヨーグルトの選択肢が生まれると確信しました。
なぜMakuakeか?「踏めるリスク」と「仲間作り」の説得術
━━アイデアを商品化するにあたり、なぜクラウドファンディング(Makuake)という手法を選ばれたのでしょうか。
岡田:大手食品メーカーはどうしても「工場で大量生産できるか」「確実に売れるか」という枠組みで考えてしまい、ユニークなアイデアがあっても途中で思考が止まりがちです。挑戦を阻む仕組みを変えるには、まず「小さく生んで試す」アプローチが必要でした。
売上目的ではなく、お客様の声を聞いて学習する場としてMakuakeを活用したいと考えたんです。
━━伝統ある企業だからこそ、クラウドファンディングの実施に対して社内から慎重な意見もあったのではないでしょうか。
岡田:経営会議で提案したときは、正直クラウドファンディングという手法に対する懐疑的な声もありましたが、私は「資金調達が目的ではなく、商品の一番のファン(仲間)を増やすプロセスなんです」と丁寧に説明しました。
また、リスクの観点でも説得を行いました。新商品の市場調査を外部に委託すると数千万円規模の費用がかかることもあります。Makuakeでのテストなら、小さく作って検証する費用も含めて調査費と同等で収まる。「これは会社として踏めないリスクではありません」と提示したことで、経営陣からも「そこまで言うなら自由にやってみなさい」と後押しをもらうことができました。
