開発ラボが生産ラインに 壁をアジャイルに突破する実行力
━━商品化のプロセスにおいて、特に苦労された壁とそれを乗り越えたエピソードをお聞かせください。
岡田:最大の壁は「パッケージ(容器)」でした。マヨネーズのようなチューブ型容器にヨーグルトを充填する設備は、自社はおろか外部の協力工場を探してもどこにも存在しなかったんです。

普通ならここで開発がストップしてしまうのですが、弊社の開発チームが「どこにもないなら自分たちで作ろう」と立ち上がってくれました。
異例のスピード開発を支えた実行力
| 従来の開発プロセス | 今回の取り組み |
|---|---|
| SCM/大規模ライン構築 | 開発ラボを改造し「小規模工場」を自作 |
| 慎重な調整と多段階承認 | Makuakeの顧客熱量を武器に現場が即決 |
| 商品化まで:約2年 | 商品化まで:わずか半年(4分の1に短縮) |
岡田:開発ラボの設備を自分たちで改造し、なんと社内に「小さな工場」を立ち上げてしまったんです。Makuakeのサポーターの方々から寄せられた熱いメッセージを生産部門に共有し、「これだけ待ってくれているお客様がいるんだからやろう」と泥臭く巻き込んでいきました。キリングループのパッケージ研究所の知見も借りながら、通常なら2年かかる開発プロセスをわずか半年間で駆け抜けました。
━━実店舗での展開にあたっても、アジャイルな改善を繰り返されているそうですね。
岡田:はい。たとえば店頭の試食販売で「クラッカーに乗せた食事シーン」を提案したところ、一般のお客様は使い方に迷われてしまったんです。そこで「カットフルーツやパンと合わせて簡単にフルーツサンドができる」という簡便な提案に変え、売り場もカットフルーツの隣に移したところ、マネキンさんがいなくても商品が回転し始めました。
店頭で商品が斜めに倒れて目立たないといった課題も含め、現場で得たデータを即座に次の改善へつなげる高速PDCAを回しています。
失敗もすべて学びに!共創で進化するファンマーケティング
━━今回の取り組みを通じて得た、組織としての学びや今後の展望についてお聞かせください。
岡田:正解がない不確実性の高い時代において、「最初から完璧な正解を作り込むのではなく、市場や顧客と対話しながらアジャイルに仕様を変えていく」という意思決定のあり方を確立できたことが一番の学びです。
実は「小岩井 むぎゅう~っと搾るヨーグルト」の3ヵ月後には、第2弾のプロジェクトもMakuakeで開始しています。
━━勢いを止めることなく、次の挑戦へつなげられているのですね。
岡田:パッケージを一から作ると時間がかかるため、グループ会社のファンケルが運営するレストランの場をお借りし、パッケージなしの試作品をお客様に食べていただきながら対話するようなスモール検証も行っています。
潤沢な予算がない中で勝敗を分けるのは、どれだけ熱量を持ったコアなファンが存在するかという「ファンベースマーケティング」の思想だと思います。
━━最後に、CommerceZineの読者であるマーケターやEC担当者へメッセージをお願いします。
岡田:今回のプロジェクトが完全な成功かと言われれば、まだまだ発展途上です。しかし重要なのは、成功か失敗かではなく「あらゆるチャレンジをすべて学びに変えられるか」だと考えています。
過去の失敗を隠すのではなく、そこから得た教訓を次のアクションへ生かしていく。今後もお客様と密にコミュニケーションを取りながら共創し、愛されるブランドを目指して足腰を鍛えていきたいですね。
