独自調査データから読み取る、生活者の購買行動の今
エージェンティックコマースは「まだ先の話」と捉えられがちだが、生活者側の変化は既に始まっている。アクセンチュアでは、世界16ヵ国2万5,000人以上の生活者(日本: 1,005人を含む)を対象に実施した最新の生活者調査「Talk to my AI Agent」を2026年に発表した。
AIエージェントに対する受容度の高さが浮き彫りとなる、顕著な結果が表れた。同調査によると、買い物を代行させるなら「親友よりもAIエージェントを信頼する」と回答した日本の生活者は、既に75%に上った。
生活者が、パーソナライズされた個人用AIエージェントに信頼を寄せていることも明らかになっている。58%は、「どのブランドを購入候補とすべきか」をまずAIエージェントに指示すると回答している。しかし、そのように「好みのブランドがある」ブランドにとってのロイヤルカスタマーであっても、AIエージェントが最適な選択肢を示せば乗り換えを辞さない生活者は34%。ブランドが築いてきた関係性が覆される可能性は高まっている。
一方で、すべてが自律的な購買に傾いているわけではない。日本の生活者の39%は「買い物を楽しみたい」「ブランドとの感情的つながりを大切にしたい」と考えており、22%は実店舗を「心躍る体験」を生み出す場としてさらに重要になると回答している。
このように、生活者がAIとの対話を通じて態度変容を起こすようになる時代に向けて、企業はどのようにこの潮流を捉え、対応していくべきなのだろうか。
プラットフォーマーの変動から見る、エージェンティックコマースの現在地
現在地を捉える上で、中尾氏はプラットフォーマーの動きから2つのトピックスを挙げた。
2015年に株式会社タンバリンを設立、消費財・エンターテインメント企業向けのECサイト構築やCX提供を手掛ける。2021年、アクセンチュアによる同社買収にともない参画
1つ目は、2025年9月にOpenAIが発表した「Agentic Commerce Protocol(ACP)」だ。ACPとは、AIエージェントがユーザーへ商品を提案するだけでなく、購買までをも代行して完了できるようにするための基準であり、ACPを活用したChatGPTの「Instant Checkout」という機能もリリースされている。これを受けて2025年10月にはWalmartがOpenAIとの提携を発表し、同年11月のサイバーマンデーには早くも成果が見られたという。
2つ目は、2026年1月にGoogleが発表した「Universal Commerce Protocol(UCP)」。ACP同様にエージェンティックコマースを推進するための共通ルールを定めたものとなり、ECプラットフォームのShopifyや米国の大手スーパーTargetをはじめとした小売企業・プラットフォームや決済ベンダーが支持、参画を進めている状況だ。
この2社の動きが意味するのは、購買の入り口を「検索」から「AIエージェントとの対話」へと移行する準備を、プラットフォーマー側が着々と進めているということ。「とりあえず検索する」が「まずは生成AIに相談する」に代わるのは時間の問題だろう。
企業が取るべき対応の方向性は大きく2つ。ChatGPTやGeminiなどの生成AI(LLM)側に商品やブランドを正しく理解してもらう「汎用エージェント対応」と、自社独自の接客ノウハウや顧客理解を組み込む「オウンドエージェント構築」だ。
重要なのは、どちらか一方だけ対応すればいいわけではないこと。エージェンティックコマースへの対応は、汎用エージェントに「見つけられる」準備と、自社ならではの「選ばれる理由」を磨く取り組みを、並行して進める必要がある。
