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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Autumn(2026.09.08-09)

小売のAI活用 ~業務効率化からエージェンティックコマースまで~

AIで「1人あたり売上8億円」の組織を作るには?「Yunth」展開のAiロボティクス、急成長の裏側

 D2Cから始まったスキンケアブランド「Yunth」、美容家電ブランド「Brighte」などを展開し、独自開発のAIシステム「SELL」を武器に急成長を遂げるAiロボティクス。社員40人弱で売上高293億円、1人当たり約8億円という驚異的な生産性は、どのように実現しているのか。さらに、ECで磨いたCPAの最適化ロジックを「店頭・卸販路」へどう持ち込み、売上を伸ばしているのか。代表取締役社長の龍川誠氏に、成長戦略とAI時代の組織論を聞いた。

2029年「時価総額1兆円」から逆算する成長戦略

──まず、現在の事業内容について教えてください。

 現在は、自社開発のAI自動分析システム「SELL」をマーケティングの中核に据え、スキンケアの「Yunth」、美容家電の「Brighte」、ヘアケアの「Straine」という3ブランドを中心に展開しています。

画像を説明するテキストなくても可
Aiロボティクスが展開するブランド。画像右下は、BJCの完全子会社化により新たに加わったパーツケアブランド「soaddicted(ソーアディクテッド)」

 ただ、我々は化粧品やD2Cの会社だとは考えていません。商品を売るマーケティングソフトウェアを開発し、その仕組みを使ってブランドを拡大する「プラットフォーム」の会社です。

──売上、利益ともに大きく伸ばしています。今後の成長戦略をどのように描いていますか?

 我々には、2029年3月期に時価総額1兆円を実現するという目標があります。そこから逆算して、成長戦略を進めています。時価総額1兆円には営業利益で最低でも400億程度は必要と考えており、売上と利益をおおむね2倍のペースで積み上げる成長モデルを推進中です。

インタビューに答えるAiロボティクス代表取締役社長・龍川誠氏
Aiロボティクス株式会社 代表取締役社長 龍川 誠氏

 2026年3月期の売上高は約293億円で前年比106.7%増。このペースで積み上げ、2029年3月期に売上高2,200億円へ到達する計算です。

──なぜ、時価総額1兆円にこだわるのでしょうか? その先の狙いはなんですか。

 最終的な狙いは「時価総額1兆円の企業になること」ではありません。その先には、宇宙開発事業の展開を計画しています。時価総額1兆円の企業を作ることは、その事業の最初の成長基盤です。

 もちろん、「何でも売って会社を成長させられればいい」と考えていたわけではありません。一社目の起業では女性向けメディア事業を立ち上げてバイアウトし、その後も美容メディアの運営を経て、美容領域に特化したマーケティングサービスを展開してきました。その経験から、顧客の課題を理解し、商品品質から販売方法までコントロールできる最も勝算のある領域が美容品カテゴリーだったのです。

大赤字だった独自開発AI「SELL」、広告運用を大きく拡張

──「SELL」について教えてください。

 SELLは、広告の出稿、運用、効果測定、クリエイティブ生成などを自動化するAIシステムです。

SELLがD2Cブランド事業を一貫してサポートする仕組み。CRM施策・商品開発・需要予測・CR作成・広告運用・CS対応の6領域をカバーする図
「SELL」はCRM施策から商品開発、需要予測、広告運用、CS対応まで6領域をカバーする
出典:Aiロボティクス「2026年3月期 決算説明資料」
(クリックすると拡大します)

 2018年頃にFacebook Japan(現、Meta日本法人)の協力を経て開発しており、最初はFacebookとInstagramと連携し、その後、LINEやTikTokなどの主要プラットフォームにも活用を広げていきました。

 プラットフォームの管理画面を開かず、当社のダッシュボード上で広告出稿から運用、パフォーマンス確認、チューニングまでを行える仕組みです。開発当初は、大手化粧品企業のマーケティング支援として活用していました。

──開発当初から高い精度を出せるAIソリューションだったのでしょうか。

 いいえ。開発初期はそもそも分析データが乏しかったため、1人の新規顧客を獲得するのに20万円ほどの広告費がかかっていました。当時、定期購入型商品に対する成果報酬として受け取れるのは1万円程度でしたから、獲得するたびに大赤字です。

──1案件獲得するごとに19万円の赤字ですか……。

 はい。仮に1万件も獲得してしまっていたらとんでもない数字になっています。取引先企業からも心配されるレベルでした。ただ、我々は目先の利益ではなく、当初から「どうすれば自動的に高い精度で良質なお客様を獲得できるのか」という課題に注力していました。

 普通だったら投資を中断するようなCPAでしたが、長期の目線に立った時に膨大な学習データを先に確保しておくことで、どんな商品でも売れるようになる。それが会社が急成長するための大きな武器になると確信して、投資を続けました。

 その結果、当社が蓄積したデータや判断ロジックと各プラットフォームの最適化アルゴリズムの融合が進んだことで、精度の高い広告運用の自動化を実現できました。

 学習の深化は数値にも顕著に現れ、当初20万円だった獲得単価は15万円、10万円、5万円、2万円と下がり、最終的には1万円を切って利益が出るまで改善していきました。

次のページ
SELLが担う「広告の自動化」と自社ブランド展開への決断

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小売のAI活用 ~業務効率化からエージェンティックコマースまで~連載記事一覧

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この記事の著者

島田 涼平(シマダ リョウヘイ)

食品専門紙の記者としてキャリアをスタートし、同時に農林水産省に拠点を置く記者クラブにも所属。時事ネタからスポンサードコンテンツまで担当し、官庁・民間企業問わず取材を行ってきた。その後、紙媒体からWeb媒体への転身を決意。比較系Webメディアのコンテンツ制作を経験後、2022年からマーケティングを中心とした経済メディ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/08/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/77097

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