1人当たり約8億円。AIを前提とした組織の条件
──AIを活用した自社ブランドへの注力、データへの投資、M&Aなど、目まぐるしく戦略を進めるなかで、1人当たりの売上高は8億1,500万円と非常に高い数字です。AIを前提とした組織は、どのように動いているのでしょうか。
2026年7月時点では、社員は40人弱となり、リテール展開を強化するため、今期から営業を担うリテール事業部を別に設置しています。
ただ、少数精鋭のため、「この部署のこの人だけが担当する」という明確な縦割りではありません。部長でも現場のプロジェクト責任者を兼ね、複数の役割を掛け持ちします。そのため意思決定も速い。インフルエンサーマーケティングなど一部は外部と連携しますが、商品開発や広告運用、CRMなど、事業の中核は内製化しており、顧客とのコミュニケーションやCSも自社開発による自動化を進めています。
──AIにここまで任せる中で、人間はどのような役割を担うのでしょうか。
人間の役割は、AIに任せた業務が正しく動いているかを確認し、「次に何を学習させるべきか」を考えることです。人間がやれることは、どんどんなくなっていくでしょうね。我々としては、この少人数制をもっと加速したいです。
特にマーケティングの部分は、狭き門です。新卒採用が基本で、そのためにはまずインターンを経験する必要があります。そのインターンの条件が、東京大学在学中であることです。日本で一番の学力を有する大学生であれば、テストでは測れないさらに上の実力値があるのではと感じています。我々は国内トップレベルかつ最先端のマーケティング集団と自負しており、そのスキルレベルについてきてほしいと思っています。
──中途採用の条件もあるのでしょうか?
専門性を持つ中途採用で見るのは、「その領域で日本一に近いか」です。当社は2029年に、従業員の平均年収を1億円にする目標があります。そのため面接では、「自分の年収が2年以内に1億円に到達するイメージを持てるか」と尋ねています。
現在の平均年収は2,000万円弱ですが、平均年収1億円を実現する以上、1人ひとりに非常に高い成果を求めることになります。だからこそ、採用する人数を絞り、飛び抜けた能力を持つ人材だけを集めたいと考えています。
接客ロボットを月へ。化粧品販売の先にある「自由」
──今後は、AIをどのように実店舗へ実装していく計画ですか?
現在、独自の接客ヒューマノイドを開発し、実証実験を始めています。店頭で顧客の肌などをスキャンし、商品知識や購買データをもとに、1人ひとりに合った商品をあらゆる言語で提案する「最高の接客員」です。
2026年は自律移動や対話、接客動作などを検証し、2027年から収益化、2028年からBJCの提携美容サロンを含め全国展開する予定です。製造原価と年間のメリットを考え、1体当たり年間500万円の利益貢献を見込んでいます。
ただし、本当の狙いは接客ロボットを店に置くことではありません。いずれ、このAIロボットを宇宙船に乗せて月へ行かせたい。だからこそ、社名が「Aiロボティクス」なんです。
──1兆円の先に描く、宇宙開発事業ですね。
当社のビジョンは「自由をつくる」ことです。自由とは、選択肢があることだと考えています。食べるものや行き先を選べることも自由ですし、究極的には、地球で生きられなくなったときに月や火星へ移る選択肢を持つことも自由です。そのための宇宙開発事業でもあります。我々にとって化粧品の販売は、大きな目標へ向かうための成長基盤そのものです。
