プログラマーの見るWeb2.0って……じつは危うい!?
編集部
GooglePublisherも始まりましたね。こういうのってプログラマーさんたちから見てどうですか?
武田
ちょっと話ずれますけど、あの、Napsterってあったじゃないですか。著作権がらみで潰れちゃいましたけど。
編集部
ええ。ありましたねえ。使ってました(笑)
武田
あれってすごい革新的だったと思うんですけれど、結局グレーゾーンで終わっちゃいましたよね。で、WinMXもWinnyもそうなんですけど、このPeer to Peerの考えかたって、実はすごいWeb2.0的。横のつながりを作るっていう意味で。で、amazonのなかみ検索然り、GooglePublisher然り、超Web2.0なわけでしょう。でも実は、凄い危ういと思うんですよ。そうやってどんどん横に広がっていくことで、自分の会社の利益が、どこが出所かわからないデータによって、知らないところで圧迫される可能性が出てくる。
編集部
漏洩とか、単純なセキュリティの問題もありますね。
武田
そう、作り手側として、非常にこの辺は危惧します。つまり、Web2.0の基本思想である”みんなが協力者”っていう考え方だけじゃWebは使いこなせないってことなんです。
編集部
今実際に武田さんが作っているシステムと同じですね。
武田
そう、だからできれば避けたい。汎用性があがったことで特定の人間だけではなく、誰でも触れるようにしてしまっているんです。なんでもかんでも今はウェブ化しようとしている。「イントラネットでいいんじゃないの? いや、将来見据えて。誰が見るの? 社内の人間だけでしょう?」という感じ。特定ユーザーしか見ないのであればインターネットにする必要はない。で、ユーザーはこっちが意図していないことを余裕でやりますから凄く怖いですよ(笑)。だから、「Web2.0万歳」って手放しで言えるようなもんじゃない。
編集部
ザバっと斬ってくださいましたね。それが聞きたかった!!(笑)
武田
(笑)
編集部
Web2.0を礼讃する人たちが沢山いるけれど、それを「どうなの?」って思っているのが、実際にシステムやツールを作っているプログラマーさんだっていうのは、すごい重いことだと思うんですよ。
武田
そうですね、そうだと思います。実際にオンライン・マーケティングをやる人々にもっと気づいて欲しいです。あと、やっぱりデータってすごく貴重なものだと思うんです。で、今、ユーザーからそれを収集しようとする動きが強いじゃないですか。
編集部
Wikipediaなんかそれの最たるものですよね。
武田
そう、でも、最も見たい項目、みんなが物申したい項目なんかは、議論が巻き起こっちゃって結局「編集中」ってなっちゃうじゃないですか。それくらい、ウェブに載せるデータっていうのはナイーブなものなんですね。実は。ホイホイ載せていいものではないんです。