カンファレンスでは、企業がCGMやソーシャルメディアを通じて消費者にどのように働きかけるかという切り口のセッションが多数用意されており、イントラブログや社内SNSなどが主なテーマであった昨年のプログラムと比較すると、ブログマーケティング・クチコミマーケティングに企業が注目している状況がうかがえる。
午前中の開幕基調講演では、MarkeZineでもコラムを連載中で『そんなんじゃクチコミしないよ。』の著書もある河野武氏(ブックオフオンライン株式会社取締役)が、「明日の消費者との付き合い方~WEB2.0ビジネスにおけるCGM活用戦略~」と題して、企業が「インターネット化した消費者」とどのように付き合っていくべきかについて指針を示した。
河野氏の講演では、この10年の個人が携帯するデバイスの変化を振り返り、これを消費者がインターネット化しているととらえ、個人がインターネットにつながったことで個人同士の新しいつながりが増えていることから、現在増えつつある新しい消費者=明日の消費者の特徴として、選択的消費傾向が強いことと、メールやSNSなどを通じた会話を好むことを挙げ、そのような消費者と企業が付き合う方法を提案した。
既存のマーケティング手法とは異なるクチコミ・ソーシャルメディアならではの考え方として、売ったら終わりではなくスタートであり、その後も地道にフォローし続けることで企業・商品のファンを作っていくことの重要性と、商品のネガティブな情報も積極的に公開していくことで無用なトラブルを少なくし、またそういった欠点を改良する過程をユーザーからの声と合わせて公開している「ほぼ日手帳」などの実例もあわせて紹介し、まとめとして、消費者との「長い付き合いを実現しましょう。この3日間にヒントがあるといいですね」と締めくくった。
続くセッションでは、ブログサービスのアクティブユーザー数で首位に立ったアメーバブログ(サイバーエージェント)の小池政秀ゼネラルマネージャーが、アメブロでのクチコミマーケティングの手法を解説し、ユーザーはモバイルに移っていると言われているが実際にはPCのブログサービスも変わらず堅調に伸びていることをアピールした。
河野氏の基調講演に続けて小池氏のセッションでも立ち見が出るなど、ブログマーケティングやクチコミマーケティングへの関心の高さがわかるイベント「Business Blog & SNS World 08」は、「LinuxWorld Expo/Tokyo 2008」と同時開催で5月30日までの3日間にわたって開催される。