一定のレベルを超えると導入のハードルが低くなる
ユーザー像を立体化させるため、Personality Library(※1)のデータを用いて、IoTユーザーのライフイベント、保有商品、消費傾向、情報態度について分析します(※2)。より特徴がわかるよう、利用度合い(利用回数及び利用アプリ数)に応じてヘビー、ミドル、ライトを分けました。
※1:マクロミル独自の拡張推計技術で、数万人の教師データを、マクロミルモニタ約130万人のシングルソースデータを生成した量と質を担保した膨大なデータセットから顧客分析するサービス
※2:IoTアプリユーザー全体のスコアが高い順に抜粋
「1年以内のライフイベント」について見ていきます。(図表4)
「在宅勤務」は、スマホユーザーが10.1%、IoTアプリユーザー全体が11.1%とあまり差はありませんが、IoTアプリのヘビーユーザーでは13.6%とやや高くなっています。「転職」、「自動車(新車)購入」、「結婚」、「新築一戸建ての購入」などの大きなライフイベントは関連した「テレビの購入」や「冷蔵庫の購入」もやや高いことがわかります。このように、ライフイベントとIoTの利用との間に何らかの関連があると考えられます。
次に、「保有している商品・サービス」を見てみていきます。(図表5)
「パソコン」「タブレット」「ゲーム機」などデジタルとの親和性が高い電子機器の保有率は、スマホユーザーよりもIoTユーザー全体の方が高くなっています。また、「食洗器」「洗濯乾燥機」「自動掃除機」などのハイエンド家電をはじめ、「空気清浄機」「加湿器」は、IoTのヘビーユーザー層が非常に高く、生活品質の向上を重視する様子が伺えます。IoTユーザーは、デジタル製品と高品質な生活を両立していると言えそうです。
続いて、「購買選択に関する態度」についてです。(図表6)
「機能・品質を重視して商品を選ぶ」や「自身の趣味や、将来のために積極的にお金を使う」といった項目は、スマホスーザー全体よりもIoTユーザー全体のほうが高い傾向にありますが、利用度合い別に分析するとミドル層が高く、意図的にIoT製品を管理するアプリを選別している可能性があります。
また、「自己投資」については、ヘビー層よりもミドル層のほうが高いことがわかりました。このように、各層のユーザーは購買選択において異なる態度をするということが読み取れます。
最後に、「情報接触に関する態度」について確認しましょう。(図表7)
IoTユーザー全体を見ると、「最新情報を早く入手し、流行についていく」「信頼できるインターネットの情報を見分けることができる」が高く、トレンド性や選別性といった情報リテラシーが高いことが読み取れます。
また、購買態度と同様に、ミドル層はヘビー層よりも一部の項目で反転している傾向があります。具体的には、ヘビー層はトレンドをそれほど追求しておらず、選別能力も必ずしも高いわけではないようです。これらの結果から、購買選択と同様に情報接触においても異なる態度の特性を持っていること分かります。
まとめとして、IoTアプリユーザーはデジタルデバイスの需要が高く、自分で情報を収集し、選別する能力を持つグループであると言えます。デバイスは、しっかりと比較検討した上で購入する傾向がありますが、一定のレベルを超えると導入のハードルも低くなるようです。
属性情報を考慮に入れるとIoTアプリユーザーは高所得層が多く、生活品質を非常に重視しています。その結果、積極的にハイエンドモデルの家電を導入し、IoTのヘビーユーザーとなったと推測できます。これらの結果から、IoTアプリユーザーの特性と行動傾向についての理解が深まりました。
