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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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マーケティングリサーチにおける生成AI活用の可能性と留意点を解説!

 近年、生成AI技術の急速な発展により、マーケティング業界に大きな変革の波が押し寄せています。特に、マーケティングリサーチの領域では、生成AIの活用が大きな可能性を秘めていると同時に、従来のリサーチの在り方に大きな変化をもたらすことが予想されます。この記事では、自身も生成AIハッカソンやプロンプトハッカソンに参加し、入賞したリサーチプランナーの中嶋正純氏が、生成AIがマーケティングおよびマーケティングリサーチにもたらすインパクトについて考察するとともに、生成AIをリサーチに活用する上での具体的な方法や留意点について解説します。また、生成AIとリサーチャーの協働により、マーケティングリサーチがどのように進化していくのかについても解説します。

※本記事では筆者が原稿の内容からイメージしたイラストをAIで作成し、掲載しています。
※本記事は7/11まで無料でご覧いただけます

生成AIがマーケティングにもたらすインパクト

 生成AIは、マーケティング全般に大きな影響を及ぼしつつあります。特に、情報収集と分析、アイデア創出の分野で、生成AIの活用が注目されています。

情報収集と分析

 生成AIを用いることで、Web上に散在する膨大な情報を効率的に収集・要約することができ、企業は顧客の声や市場の動向をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定に活かすことが可能になります。

 たとえば、イーロン・マスクが率いるxAIが開発した「Grok」は、X(旧Twitter)上の投稿をリアルタイムで分析できます。「Grok」を活用することで、ソーシャルメディアの投稿や製品レビューなどの非構造化データから顧客の嗜好やニーズを抽出し、マーケティング戦略に反映させることが可能になります。

 消費者からリアルタイムで意見を集めることができるSNSと生成AIのかけ合わせは、企業のマーケティング活動に大きな変革をもたらすのではないかと思われます。

アイデア創出

 マーケターは生成AIが提示したアイデアを活用することで、よりクリエイティブな施策を立案することが可能になりました。これにより、従来の発想の枠にとらわれない斬新なアイデアが生まれる可能性もあります。

 実際に伊藤園では、生成AIを活用してパッケージデザインのラフ画を作成に活用し、生成AIを活用することでアイデアを大量に出すことが可能になりました。最終的には人間がデザインを制作しますが、アイデア出しの段階で生成AIを活用することで、作業の効率化と創造性の向上を実現しています。

 コカ・コーラ社も、生成AI技術を用いてアート作品を制作できるプラットフォーム「Create Real Magic」を発表しました。同社は、最先端の生成AIによってマーケティングを強化し、事業を効率化する方法を模索しており、生成AIを積極的に活用しています。

マーケティングリサーチにおける生成AIの活用法

 生成AIはマーケティングリサーチの各フェーズでも活用できます。

【参考】マーケティングリサーチの流れ(筆者作成)
【参考】マーケティングリサーチの流れ(筆者作成)

 生成AIを活用することで大量の調査データからインサイトを抽出したり、消費者の声を基にしたコンセプト案を生成したりすることが可能です。以下にその具体例を挙げます。

例1.消費者の声を基にしたコンセプト案の生成(調査の設計・計画フェーズ)

 生成AIを活用することで、消費者の声を基にした新商品のコンセプト案を自動生成することができます。リサーチャーは生成AIが提示したアイデアを基に、よりクリエイティブな施策を立案することが可能になります。

 たとえば、サントリーでは生成AIを活用してユニークなCMを企画しています。生成AIからのアドバイスを参考に、従来の発想とは異なる斬新な内容のCMを制作することに成功しています。

例2.大量の調査データからの知見抽出(集計・分析フェーズ)

 生成AIを用いることで、過去の調査データから重要な知見を効率的に抽出することができます。たとえば、自由回答の分析に生成AIを活用することで、大量のテキストデータから顧客の潜在的なニーズや課題を見つけ出すことが可能です。

 NTTデータ先端技術とインテージが共同で行った検証では、Webアンケートの生成や構造化データ・非構造化データの集計・分類といった定性分析の業務において、生成AIの活用の有効性が確認されました。これにより、マーケティングリサーチ業務の精度向上と調査期間の短縮が期待されています。

例3.自由回答データの分類・要約(集計・分析フェーズ)

 特に、自由回答データの分類・要約には生成AIが威力を発揮します。従来は手作業で行っていた作業を自動化し、分析の効率と精度を高められます。マクロミルでも自由回答の分類作業に生成AIを活用し、コスト削減、短納期での納品が実現化できています。

例4.定性データの分析(集計・分析フェーズ)

 生成AIは定性データの分析にも活用できる可能性を秘めています。たとえば、インタビューデータを生成AIで分析することで、対象者の本音や悩みを浮き彫りにすることができます。ただし、定性データは文脈や背景が重要なため、生成AIの分析結果を鵜呑みにせず、人間の解釈を加えることが大切です。

 このように生成AIはリサーチャーの強力なアシスタントになる可能性を秘めています。生成AIの力を上手く活用することで、リサーチャーはより深い洞察を得ることができるようになるのではないでしょうか。

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この記事の著者

中嶋 正純(ナカジマ マサズミ)

株式会社マクロミル カスタマーディベロップメント本部セールスディベロップメント部 リサーチプランナー
2005年マクロミル入社。リサーチャーとしてブランド調査やライフスタイル調査など、様々な業界・領域のリサーチを担当。現在はリサーチプランナーとしてリサーチの企画提案に携わり、マーケティングリサーチを通じて顧客のマーケティ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/04 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46019

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